オリヴィア某もビックリの注目レーベル!!
クリック・ハウス隆盛の現在、コンパクトと並んで〈ポスト・クリック・ハウス〉を感じさせるレーベルがゲット・フィジカル(以下GP)だ。GPはパトリック・ボドマーとフィリップ・ユングによるユニット=M.A.N.D.Y.、大学の同級生だったウォルター・メルツィガーとアルノ・カマーメイヤーによるユニット=ボッカ・シェイド、そして独クラブ界の御意見番的な「Groove」誌の創設者でもあるDJ Tの5人によって、2002年に設立されている。2005年にリリースされたM.A.N.D.Y.の“Jah”、そしてM.A.N.D.Y.とボッカ・シェイドの共作となる“Body Language”のフロア・ヒットによってにわかに注目を集めたGPは、M.A.N.D.Y.による同年のミックスCD〈Body Language Vol. 1〉でシーンにおける重要度を知らしめた。ヴィラロボスやロバグ・ヴルンなどのクリッキーなトラックと、ホールデンやリンドストロムなどのディスコ・ダブ系を絶妙に紡いだ同ミックス盤のセンスは、そのままGP的なセンスの真骨頂として説明できる。言うなればポップでディスコ、トランシー寸前のクリック~テック・ハウス、なのに下世話になりすぎず、されど華がある(?)というのがGPらしい新鮮さであり、それこそが人気の理由なのだ。それ以外に注目のメンツは、トーマス・シューマッハのユニット=エレクトロケミーやジェイ・ヘイズのユニット=ファックポニー、そしてダブサイデッドのジェシ・ローズ……なぜか本職のある人たちの課外活動場と化しているのだが。
『Body Language Vol. 3 By Jesse Rose』(2006)
スウィッチことデイヴ・テイラーとのユニット=インデュケイヴや自己名義でダブサイデッドを中心に大活躍中のジェシ・ローズが大人気ミックス・シリーズに登板! そのインデュケイヴに、スウィッチの別名義=ソリッド・グルーヴ、レディオ・アクティヴ(レキッド)など人気者が集結! 奇怪なネタ使いにバウンシーなビートという、いわゆるスウィッチ流儀のテック・ハウスが過剰なまでに搭載!
FUCKPONY 『Children Of Love』(2006)
主宰するコンテクステラーを中心に多くのレーベルや名義で活動するクリック界の働き者、ジェイ・ヘイズもGPにぶらり途中下車。サーカス・カンパニーなどで活躍するサミムとのユニット=ファックポニーとしての作品で、ヴォーカルや声ネタを上手く使ったGP流儀のダサカッコ良くポップなエレクトロ・クリック・ハウスを披露。人気の“Ride The Pony”“Get Pony”などポニー連作も収録。
『Body Language Vol. 1 Mixed By M.A.N.D.Y.』(2005)
GPの名を広めた名ミックス・シリーズの第1弾には大黒柱の2人が登場。GP初期の大ヒットとなった“Body Language”などの内容は序文にてチェックしてほしいが、初ミックスCDながらもここで自社音源にこだわらない選曲をしたのがこのシリーズ自体の勝因にもなった。
『Body Language Vol. 2 Mixed By DJ T.』(2006)
DJ Tが登板した看板ミックスの第2弾。超人気のセオ・パリッシュ“Falling Up”のカール・クレイグ・ミックスにタヒチ80曲のボッカ・シェイド・ミックス、チキン・リップス、ティーフシュワルツ、ヴィラロボス(しかもイゾレー・ミックス)など陰りのある妖しさが艶っぽい。
『Monza Club Ibiza Compilation Vol. 1』(2006)
GP発祥の地であるパーティー〈Monza Club〉から注目の女性DJ、ヘイディのミックスCDが登場! いきなりスタートがモーリッツィオの大名曲“Domina”(しかもカール・クレイグ・ミックス!)で、その後トビアス“Street Knowledge”、コブルストーン・ジャズ(マシュー・ジョンソン)の“Dump Truck”、ラン・ストップ・リストアのマーク・ホール、そしてヘイディ自身の“Vejer”……と要注目トラックが連発される、クールでキレのある好ミックス!

BOOKA SHADE 『Memento』(2004)
M.A.N.D.Y.と共にGPの中核を成すボッカ・シェイドによる、レーベル初のアーティスト・アルバム。薄暗めで激シブ、どことなくアンニュイなアシッド味クリック・ハウスが展開されている。この手のレーベルにしてはアーティスト・アルバムが多いのもGPの特徴のひとつか。
CHELONIS R. JONES 『Dislocated Genius』(2005)
ロイクソップの作品にフィーチャーされたこともある黒人シンガーのアルバム。後にデータにライセンスされた“I Don't Know”の泣きっぷりと言い、“One & One”のアンニュイっぷりといい、一般的なブラック色皆無な異色っぷり(見た目もニューウェイヴ的!)。GPの奥深さを示す一枚。
DJ T. 『Boogie Playground』(2005)
独クラブ・シーンの黒幕、DJ Tの初アルバム。名が体を表したシカゴ・ハウス調のシングル“A Guy Called Jack”あり、デトロイティッシュあり、ディスコあり、コミカルあり、薄明るいチューンあり……と今後のレーベルの方向性をまとめたカタログ風の内容だ。