OKI 『トンコリ』 チカルスタジオ(2005)
彼の原点であるトンコリのみで綴られた15曲。古いトンコリの録音に向き合い、さまざまな旅を続けてきたOKIの視点からリアレンジされた伝統曲やオリジナルを収録しているが、そこに民族音楽研究のような堅苦しさはない。自由でスピリチュアルなムードに彩られた傑作。
OKI 『DUB AINU DELUXE』 チカルスタジオ(2006)
2004年の『DUB AINU』に続くダブ・シリーズ第2弾。リミックス集の性格が強かった前作と比べると、ダブの持つ魔力によりフォーカスした今作はさらにディープな仕上がりだ。沼澤尚やヒロヒサも参加し、『OKI DUB AINU BAND』の前哨戦といった趣。
KILA & OKI 『Kila & Oki』 Kila(2006)
アイルランドの野生児集団、キーラとの共演作。ライヴではかねてから共演していた両者だけに、リラックスした世界が展開されている。全編を覆う開放感、土の匂いのする温かなヴァイブレーション……OKIの持つボーダレスな感性が結実したアルバムだ。
安東ウメ子 『ウポポ サンケ』 チカルスタジオ(2004)
2004年に惜しまれつつ逝去したアイヌ文化伝承者、安東ウメ子。OKIはその右腕として多くの名唱を支えてきたが、今作はその最高の成果だ。トゥバ~キューバ~アフリカも視野に入れたサウンドのなか、安東の朴訥とした歌声が響く。どこまでも美しい、希代の傑作。
『ロッカーズ』 アップリンク(1978)
OKIがレゲエにハマるきっかけとなったのが、この伝説的レゲエ・ムーヴィーだとか。レゲエがどんな場所から生まれ、どんな人々に愛されてきたのかを明確に示す素晴らしいサンプル。どんな苦境もユラユラ乗り越えようとするルードボーイたちの佇まいはOKIと重なるところも。
BOB MARLEY & THE WAILERS 『Survival』 Tuff Gong/Island(1979)
多くのレゲエ・アーティストのなかでも、OKIが心底傾倒するのが彼(ら)。力強いメッセージ、すべてを呑み込む強靱なサウンド、そして過去と未来を見つめるボブの眼差し。サウンド的な連続性は薄いものの、OKIとの共通性はあきらかだ。
Flying Rhythms 『DO THE WAVES』 時空/ラストラム(2006)
『OKI DUB AINU BAND』に参加した天才ダブ・エンジニア、内田直之の凄まじい手腕を存分に楽しめるのがこのアルバム。迷路のように張り巡らされた打楽器地獄を魔法のような手捌きでダブワイズ! 彼らとOKI DUB AINU BANDの混合バンドを観てみたいです。
GOMA 『Soul of Rite』 JUNGLE MUSIC(2006)
大地にしっかりと両足を着けながら、新たな音楽の地平を創造しようとする……という意味で、GOMAとOKIには通じるところがあるのでは。カーシュ・カーレイらを招き、自身との化学反応を楽しむような今作にも、自由でフレッシュなヴァイブレーションが溢れている。
MASSILIA SOUND SYSTEM 『Occitanista』 Adam(2002)
レゲエのスタイルではなく、スピリットを継承するものとして、本文中で触れられているマヌー・チャオと共にフランスはマルセイユを拠点にする彼らを挙げておきたい。多彩な音楽要素が入り乱れながら、そこに必然性を感じさせるあたりはOKIにも通じるところ。