ダンス・ミュージックやカフェ・ミュージックは、洋楽が中心となってしまっている昨今。そんな時代の流れに逆行し、古今東西、日本に存在する多くのダンス・ミュージックやカフェ・ミュージックとなりうる名曲をオシャレに、かつアカデミックに紹介するSHIBUYA-FMで好評放送中のラジオ番組、それが「ニッポンの魂!!(Japanese Soul)」。クラブで掛かったらこの曲は踊れるかも、カフェやバーでこんな曲が流れていたらオシャレかも、などの〈日本人の日本人による日本人のためのソウル・ミュージック〉を新旧問わずに語り尽くす!! そんな縦横無尽トークを、bounce.comではダイジェストでお届けします!

「ニッポンの魂!!」のレギュラー選曲者は、この6人!
・LATIN RAS KAZ(以下ラスカズ):ご存知! 日本が誇るEDIT MUSICの第一人者。
・コンピューマ(スマーフ男組):スマーフ男組のターンテーブルとたくさん担当。
・服部全宏(GO PUBLIC/以下服部):GO PUBLIC。アーヴァン感ミュージックを提唱中。
・daisk8(SWING BOYS):ラジカセで聴くジャズをテーマにしたユニット〈SWING BOYS〉のDJ。
・池谷航:bounceと代官山UNITがお送りする音楽イベント〈bouNIT〉などのイベント番長。
・Kaneko Hideshi(FreePaper UNIT/以下Kaneko):フリーペーパーUNITの編集長、たまにDJ。まれに☆
■選曲 daisk8(SWING BOYS)
中森明菜“DREAMING”(『BITTER AND SWEET』収録)
daisk8:DAISK8が選ぶ「ニッポンの魂!!」ボサノバ編は、中森明菜の“DREAMING”。
ラスカズ:これ、僕はマドンナの“Into The Groove”(『YOU CAN DANCE』収録)に似ているっていう話で聴いてみたんですけれど、あまり似ていなかったなぁ、というオチです(笑)。“DREAMING”は、あのパーカッショニストの斎藤ノブさんが作詞しているんですよね。
Kaneko:斎藤ノブさんもこの時代のキーマンですよね。
daisk8:このアルバムは、実はEPOとか、吉田美奈子とか、角松敏生とかが関わっているんですよね。かなり豪華なメンバーで幕の内弁当みたいな感じなんですよ。この中森明菜というアクのあるキャラクターでアルバム全体がまとまっている感じですよね。
ラスカズ:この当時、中森明菜のアルバムをそういう次元で語って聴く人ってそうそういなかったと思うんですけれどね。
Kaneko:そりゃいないですよね(笑)。
daisk8:中森明菜とボサノバって、まったくイメージがわかないですよね。
Kaneko:ジャケットの中にポスターが入っているんですけれど、この撮影者が篠山紀信さんですよ。
服部:素晴らしい!
daisk8:この時代のトップクラスという感じですよね。
池谷:僕は、このポスターを見てグッと来ましたね。今日一番かもって思いましたね。
服部:一番って(笑)!!
daisk8:これ最後の部分のトラックがまた良いんですよ。
ラスカズ:リズムマシーン使っていますよね。
■選曲 池谷航
角松敏生“OFF SHORE”(『ON THE CITY SHORE』収録)
池谷:この11月に夏っぽい曲を選曲してしまいましたが(笑)。
Kaneko:全然、季節感無いですね(笑)。ジャケットも夏というか海ですよね。
ラスカズ:僕も角松敏生さん好きなんですけれどね。夏時代のね。
池谷:このアルバムなんですけれど、角松さんが初セルフ・プロデュースした作品なんですよ。
Kaneko:ホーンセッションの部分とか素晴らしいですよね。
池谷:このアルバムの楽曲は外れ無しという感じです。
服部:裏ジャケもね、最高ですよね。
池谷:まさに昼と夜な感じですよね(笑)。
■選曲 Kaneko Hideshi(FreePaper UNIT/☆)
Raji“The Tokyo Taste”(『Heart To Heart』収録)
Kaneko:作詞、作曲は、もちろんご存知! 高橋幸宏さんと後藤次利ですね。しかもデュエットで入られているヴォーカルの男性ですが、聞き覚えある声ですけれど(笑)、南佳孝さんなんですよ。
daisk8:メンバーが豪華ですよね。
Kaneko:Rajiのハスキーボイスと佳孝さんの声が、絶妙の絡み具合を見せている最高の一曲です。ギターは鈴木茂さん、パーカッションは斎藤ノブさんですね。
ラスカズ:わりとYMOファミリーが関わっていますよね。
Kaneko:キーボードに坂本龍一さんが入っていますね。
池谷:全然、77年に聴こえないですよね。ホント新鮮ですよ!
■選曲 服部全宏(GO PUBLIC)
スネークマンショー・アンファン“DAREBOKURE-誰も僕を起こさないでくれ”(『シャシの耳~スネークマンショーの恐るべき子供たち』収録)
服部:桑原茂一さんプロデュースのドラマCDの中からの一曲です。これ実はバナナマンが歌っています。
池谷:現在もコメディクラブキングに参加していますよね。
ラスカズ:上品な曲ですよね。
Kaneko:普通に聴いていたらバナナマンだって気付かないですよ。
服部:もの凄いハーモニーをやっているんですけれど、作曲がエアーギターとかJ-WAVEとかでパーソナリティをやられている金剛地武志さん。yes, mama ok?のね。
ラスカズ:髪型が似てるって言われますけれどね(笑)。
服部:うわ! 似てる!! ラスカズさん似てるね、金剛地さんに(笑)!!
ラスカズ:あんまり嬉しくないですけれどね(笑)。
服部:その金剛地さんが作られた隠れた名曲です。
Kaneko:金剛地さんは、実は良い曲をいっぱい作られていますよね。
服部:曲名の“DAREBOKURE”は、「誰も僕を起こさないでくれ」の略ですね。このCDは、ドラマになっているんですけれど、そのドラマの役名の〈ノボルとカズヤ〉でバナナマンが出ています。
ラスカズ:実際歌っているのがバナナマンなんですね。
服部:97年から茂一さんは、彼らとお付き合いをしていたんですね。
Kaneko:古いdictionaryを見るとバナナマンが良く出ていますね。
服部:このCDは、ぜひチェックして見て下さい。
■選曲 LATIN RAS KAZ
DREAMS COME TRUE“決戦は金曜日”(『The Swinging Star』収録)
CHERYL LYNN“Got To Be Real”(『ザ・ベスト・オブ・シェリル・リン』収録)
ABC“Look Of Love”(『Abusolutely Best Of ABC』収録)
Kaneko:来ましたね(笑)!
ラスカズ:これは反則なんですけれど、(*注1)〈モーフィング・スペシャルMIXコーナー〉です。DREAMS COME TRUEは、字面を見るとコム・デ・ギャルソンがちら付くんですけれど(笑)、明日は金曜日という事でね、この曲を選びました。これはシェリル・リンの"Got to Be Real"と似てるって言われてましたけれどね。最後は、ABCの"The Look Of Love"も似てるかなって思って。
daisk8:そっくりですよね。
ラスカズ:この手のものって多いんですよね。シェリル・リンみたいなリズム・トラックは、ベースとバスラがユニゾンで鳴っているようなサウンドでスウェイ・ビートと呼ばれているんですけれど、プラネット・ロックとかもスウェイの発展系らしいんです。ヒットの法則というか、そのビートはキャッチーな曲が多いらしいんですけれどね。個人的にも大好きな曲が多いですね。
daisk8:これはB-BOYも聴くんじゃないですか?
ラスカズ:当時、DREAMS COME TRUEは苦手だったんですけれどね。もう20年遅れくらいになるのかもしれないですけれど(笑)。
池谷:彼らは、まだバリバリ現役ですからね。
ラスカズ:和製フリーソウルっぽいというかね。洋楽がちらつくような曲は、結構あったりして。そういう目線で聴いても色々面白いものはありますよね。
Kaneko:DREAMS COME TRUEは、個人的にDJでもよく掛けるんですけれど。音が厚いんですよ。クラブ仕様というか踊り易いんですよね。J-POPというよりは、J-CLUBに近いんじゃないでしょうか?
服部:伸びの部分でトランスフォーマー・スクラッチをやりたくなるんだよね(笑)。
ラスカズ:JAZZY JAY的なね(笑)。
*注1 モーフィング=似ている曲を探すということ。
※トークに登場する楽曲のオリジナル盤は、廃盤・取扱い終了などで入手不可能なものがあります。記事内の収録アルバムについては、現時点で入手可能な作品をご紹介しています。
「ニッポンの魂!!」情報
・毎月第1、第3木曜日(21:00~22:00)にSHIBUYA-FM(78.4Mhz)にて放送中! そして代官山UNITのフリーペーパー「UNIT」でも展開中! 今後、bounce.comとも連動企画があるかも!? 次回の放送は12月7日。ぜひチェックしてみてください。お楽しみに!