10月25日に約5年ぶりとなるオリジナル・アルバム『Sensuous』をリリースするCornelius。発売が待てない! というファンの声も多く聞こえる中、去る9月29日に東京・六本木の〈Super Delux〉にてひと足早く新作披露ライヴが行われました。音楽と映像を同期させることで発生する異空間──サイケデリックかつファンタジックなステージングを、bounce.comでは速報レポートいたします!!

5年振りのニュー・アルバム『Sensuous』のリリースを10月25日に控え、Corneliusが新作ビデオの上映とライヴを兼ねたショウケース・イベントを行った。開演前の会場で本人撮影のトリッキーな映像が流された後、明滅する青黄赤のスクリーンに同期したビートがじわじわ加工されながら流され、見聞きしているうちに空間がぐにゃりと歪む。本人は会場の隅でその様子を興味深そうに眺めていたが、ほどなくして開演時間を迎え、Cornelius Groupが登場。ギター/ヴォーカルがCorneliusこと小山田圭吾、キーボードが堀江博久、ドラムがあらきゆうこというラインナップは前作リリース時のライヴと変わらず、そこにベースの清水ひろたか(本来、彼のパートはギターだ)が新たに加わり、演奏が始まった。
1曲目は歌モノ回帰したアルバムを象徴する先行シングル“Breezin'”。堀江博久によるエフェクティヴなシンセサイザーで幕を開けると、曲が進むにつれ、ドラマーのあらきゆうこが4本の手足で完全にバラバラのリズムを刻みながら、清水ひろたかのベースと絡みあい、じわじわと未体験ゾーンへと聴き手を誘う。それぞれのメンバーの脇にはウィンドチャイムが設置されていて、曲中のブレイクやエンディングでさらさらきらきらした音を鳴らしていた。このさらさらきらきらした音は今回のアルバムを象徴するものだという。
そして、2曲目は“Wataridori”。変則的なリズムの上をディレイで幾重にも折り重なったCorneliusのギターと堀江氏のシンセが飛翔するトリッピーな1曲だ。
続く3曲目の“Gum”は楽曲的にはギター・ロック・チューンと言えるが、作品では細切れにエディットされたヴォーカル・パートを小山田/清水の2人が掛け合いで担当。これまた演奏は相当に難易度が高そう。
4曲目の“Beep It”は、〈Crue-L〉からLuger-Ego(瀧見憲司)のアシッドでプログレッシヴなリミックス12インチ・シングルのリリースが予定されていることからもお分かりの通り、Cornelius流ダンス・チューンといった趣き。ファンキーなベースラインとシンセサイザーの飛び音はメトロ・エリアを彷彿とさせるが、エッジが立っていて、非常にスリリングな印象を受ける。
ラストは活動再開第1弾シングル“Music”。アコースティック・ギターをフィーチャーし、“Breezin'”同様、歌モノの側面を担う曲だが、軟着陸と思いきや、エンディングのシンセサイザーの音色に意識は遠くへ……。
その後、アルバムを紹介するコラージュ映像が流され、イベントは無事終了。このライヴは前作同様、演奏と映像が同期しているばかりか、楽曲、演奏ともにプログレッシヴで、音響的に考え抜かれた新しい形のサイケデリック・ミュージックがそこにはあった。アルバムを聴くことはもちろん、今回の作品はライヴで体験してこそ、その真価を発揮するのではないかと思う。個人的な余談になってしまうが、今回のライヴはその噂を聞きつけたドイツの音楽ジャーナリストから「なんとか入れないか」と連絡があったほどで、彼の新作リリースとライヴを世界が注目している。