bounceと東京・代官山のUNITが、素敵な音楽とグッド・ヴァイブスをお届けするべく開催している〈bouNIT〉。早くも4回目=1周年を迎えた今回は、それぞれが独自のカラーを持ったアーティストたちのステージに加え、トークショーやASA-CHANGによる似てない顔絵コーナーなどのサプライズ企画も用意されていたりと、ヴァラエティに富んだ内容のイベントとなりました。音楽を聴いたり、食事をしたり、談笑したり……。そんなリラックスしたムードの中で行われた数々のパフォーマンスを、bounce.comではダイジェストでレポートいたします。
タラチネ @UNICE 15:50~

〈UNICE〉は、7月にクラムボンのミト氏がプロデュースしたシングル“Mellow Gold”をリリースしたばかりのタラチネからスタート。ピアノと男女ツイン・ヴォーカルを基本としたスケッチに、フルートやメロディオンなどで繊細な彩色を施して完成するサウンド・スケープは、記憶の底で眠っていたノスタルジーを呼び覚ます。途中、メンバー全員が同じリズムを刻みながらヘッド・バンギングしたり、日本一エキセントリックなメロディオン奏者(!?)・永田が客席に乱入したりとアグレッシヴな場面が挿入されながらも、フロアは終始、白昼夢を見ているかのような心地よい浮遊感に包まれていた。*土田
LIKKLE MAI @UNIT 16:20~

ホーン×2、パーカッションを含む7人編成のバック・バンドという、鉄壁の布陣で登場したLIKKLE MAI。ダビーなフレーズを多分に挟みながら、ソロ・デビュー作『Roots Candy』からの楽曲を次々に披露してくれた。ロックステディ~ルーツ・レゲエを軸にしつつ、それらの焼き直しではなく、消化して前進させようというポジティヴな姿勢が楽曲にもしっかりフィードバックされている。さらに彼女が今年前半~夏にかけてツアーやフェスを多数こなしてきた自信が伝わってくる立ち居振る舞いも素敵でした。*ヤング
ナイアガラトークショー @UNICE 16:40~

大滝詠一のNiagara Recordsとタワーレコードとのコラボレーション企画が今年の春から開始し、ナイアガラ・ナンバーのカヴァー・アルバムを季節ごとにリリース中。今回はそれを記念し、春盤『Niagara SPREING』で“雨のウエンズデイ”をカヴァーした永山マキ(モダーン今夜)、坂口修一郎(Double Famous)の両氏とライターの桑原シロー氏、タワーレコード・スタッフの小川の4名で〈ナイアガラトークショー〉を開催。選曲やレコーディング時の裏話など、この場でしか聞くことのできない話題が満載で、次の秋盤の予告も? ……と思いきや、小川は「秋に秋盤を出すのは諦めた!!」と宣言。「予定は未定というのもナイアガラらしいかな」と桑原氏。おあとがよろしいようで!?*土田
一十三十一 @saloon 17:00~

地下3階で秘密基地的に営業しているDJスペース〈SALOON〉で行われた一十三十一のライヴ。大きすぎない適度なフロアとして個人的に重宝しているのですが、この日のライヴでは観客がフロアからはみ出して通路に溢れるほどの入りっぷり。彼女が登場し、フロアの密度がさらに高まったところで1曲目の“キラメキmovin’on”がスタート。L?K?Oとのデュオ編成で、彼女のきめ細かいヴォーカルが、アブストラクトな脱臼ビート&スクラッチの上で踊るように螺旋を描く。中盤から登場したゴセッキー(DCPRG他で活動)のサックスと一十三十一とのデュエットなど、ドラマティックな曲を自ら解体する彼女のマニアック性が表れていた。*ヤング
SPECIAL OTHERS @UNIT 17:30~

フィジカルな音楽性の端々に、ルックスからは想像できない(失礼)センチメンタリズムとポップネスを覗かせるジャム・バンド、SPECIAL OTHERS。中心を向くようにセットされたギター、ドラム、ベース、キーボードの4人によるこの日のステージも、スリリングな駆け引きとジャストな調和が生み出すグルーヴが観客を次々と飲み込み、〈UNIT〉は一気にダンス・フロア化。プレイヤーもリスナーも含め、全員が逃れることのできない(でもたまらなく気持ちいい)音の渦に巻き込まれていた。残念ながら今回のセット・リストには含まれていなかったけれど、完成したばかりというニュー・アルバムはかなりヤバイことになっているのではないだろうか?*土田
クラムボン @UNIT 18:40~
大木凡人氏が放った「最強のトライアングル、クラム・ボ~ン!!」という熱いシャウトとは対照的に、しっとりとしたスロウ・ナンバー“コントラスト”~“雲ゆき”でゆるやかに滑り出した3人。相変わらずオーディエンスとの親和性が高いステージングで、フロア全体で会話しているかのような和やかな空気を漂わせながら、ジュディ・シルやSUPER BUTTER DOGのカヴァー、最新シングル“THE NEW SONG”など、新旧の楽曲をバランスよく披露していく。原田郁子の伸びやかなヴォーカルはもちろんのこと、ピアノ、ドラム、ベースが織り成す軽やかなアンサンブルは、聴き手にこの上ない至福の時をもたらしてくれる。冒頭の大木氏によるイントロダクションは、まったくもって本当なのです。*土田
塚本功 @UNICE 20:30~

ネタンダーズ、SLY MONGOOSE、小島真由美のバック・バンド……と、さまざまな活動で知られる塚本功。ソロ作のタイトルにもなっているギター、〈ES-175〉を抱え、アンプ直挿しのスタイルはいつもどおり。この日も哀愁たっぷりのムードで〈UNICE〉全体をじんわり包み込む演奏を見せてくれた。ソロ作未収録の“ムームーソング”、“子供は寝る時間”など、滋味溢れる楽曲を連発。後半に飛び出した“パイプライン”のカヴァー(!)では、メロディー~リズム~ソロをギター1本で再現する超絶テクを披露。凄いことをやっているのにそれを感じさせない飄々とした佇まいが彼のセンスなんじゃないでしょうか。素晴らしい!*ヤング
吾妻光良&The Swinging Boppers @UNIT 21:00~

〈SALOON〉で行われたブルース講座では、ジャンプ・ブルースをラジオDJ風に紹介。楽曲がかかりだすと自ら踊り、会場をどっかんどっかん言わせていた吾妻光良。バッパーズでのライヴはその盛り上がりを余裕で超える、フロア大揺れの40分。8月にリリースされた新作『Seven&Bi-decade』からの楽曲を中心に、未音源曲“栃東の取組見たか”などを盛り込み一気に疾走。おっさんがクダ巻き続けているだけのような歌詞で若い女の子が体を揺らす光景は奇妙なんだけれど、そんなことどうでもよくなるほど楽しいステージなんだからしょうがない。「明日があるんだからさっさと終わらせよう」というMCの割には2度のアンコール披露するなど本人もノリノリのご様子でした。*ヤング
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