こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

NEWS & COLUMN ニュース/記事

第2回 ─ Niagaraカヴァー第2弾発売記念! 曽我部恵一インタビュー

連載
Niagara Cover Special
公開
2006/09/07   15:00
更新
2006/09/08   01:01
テキスト
文/ヤング係長

8月30日にリリースされた、大滝詠一トリビュート・アルバム『Niagara SUMMER ~Niagara Cover Spcial~』。本作は、季節を感じさせる作品を多くリリースしてきたNiagara Recordsへのオマージュとして、春夏秋冬各シーズンでリリースされる4枚のアルバムの第二弾〈Summer Edition〉です。bounce.comでは、このトリビュート・プロジェクトに参加してくれたアーティストを迎えた企画を、季節ごとにお送りいたします。前回の□□□(クチロロ)×永山マキ(モダーン今夜)対談に続いて、今回は“A面で恋をして”をカヴァーした曽我部恵一さんに、大滝さんの魅力について存分に語っていただきました!


――曽我部さんはサニーデイ時代から大滝さんのファンとして有名ですよね。本日は曽我部さんが感じる、大滝さんの魅力やその思いをお伺いできればと思います。

曽我部 はい。

――ライヴでは“空飛ぶくじら”や“指きり”、“それはぼくぢゃないよ”をカヴァーされているし、『FUTURE KISS』では“びんぼう”のカヴァーが収録されている。全ての作品に思い入れがあるとは思うのですが、選んでもらうとしたらどの作品が好きですか?

曽我部 僕はやっぱりファーストの『大瀧詠一』が好きですね。ナイアガラ・レーベル一連の作品も好きなんですけれど、その中で一番好きなのが『LET'S ONDO AGAIN』で。あれが究極のナイアガラ・サウンドかなと思っているんです。ファーストと、『LET'S ONDO AGAIN』が2つあって大滝さんという感じがしていて。『A LONG VACATION』はまた別格なんですけど(笑)。

――曽我部さんがファーストが好きだというのは理解できますよね。

曽我部 ファーストはやっぱり大滝さんのサウンドがまだ整理されていないので、影響を受けてこられたものがダイレクトに出ていると思うんです。バッファロー・スプリング・フィールドやモビー・グレイプみたいなものから、60年代のフィル・スペクターみたいな感じもある。あまりアレンジも凝っていないし、音数も少なくて。畳の部屋で作った感じがする。

――では、『LET'S ONDO AGAIN』はどういうところが好きなんでしょうか?

曽我部 『LET'S ONDO AGAIN』は、折衷のすごさですね。僕ら世代の言葉で言うとパンクっていうことなんですけど。音頭とアメリカン・ポップスに共通点を見つけて合体させるというのは暴力的で力ずくな発想だと思うんです。でも、それが普通に家で聴けるサウンドになっていることがすごい。

――大滝さんの作品を聴くと、その力ずくな発想を形にしてしまうだけの頑固さを感じるんです。

曽我部 うん。『LET'S ONDO AGAIN』は、裏事情ではセールスが厳しくなっていく状況のなかで放った作品ということだったらしいんですけど、だからといって背水の陣で無茶苦茶やったという感じじゃないんですよね。ユーモアがあって笑わせてくれる。そこに懐の深さを感じるんです。人間の大きさがある。

――リアルタイムで聴いてきたわけではなくて、後追いですよね?

曽我部 リアルタイムでは“A面で恋をして”とか“君は天然色”あたりですね。でも、音楽好きで「FMステーション」を読んだりとか、山下達郎さんの発言なんかから〈大滝詠一っていう人は鬼才だ〉という刷り込みはありましたね。どんな人なのか顔はわからないんだけれど、とんでもない人がいるっていう(笑)。

――じゃあ、いろんな音楽を集めていくようになってから出会ったわけですね。

曽我部 元々パンクから音楽にのめり込んで聴くようになったので、ニュー・ミュージックのサウンドがどうしても馴染まなかったんです。でも、大滝さんを聴いたらそこからすんなりニュー・ミュージックまでたどり着けた。それまで洋楽しか聴いてこなかったので、日本の音楽を聴けるようになったきっかけは大滝さんですね。はっぴいえんども今みたいな評価のされかたはしていなくて、ロックなのかフォークなのかニュー・ミュージックなのかはっきりしていなかった。だから中学生くらいのころは入りづらかったんです。僕らは〈はっぴいえんど第二世代〉かもしれないですね。

記事ナビ