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第7回 ─ 〈FUJI ROCK FESTIVAL 06〉各アクトの詳細をレポート

第7回 ─ 〈FUJI ROCK FESTIVAL 06〉各アクトの詳細をレポート(2)

連載
オレらの 夏 フ ェ ス 予習・復習帳 06
公開
2006/08/10   22:00
更新
2006/08/11   16:55
テキスト
文/田家 大知、小田 由美子、星野 源、原田 亮、内田 暁男、ヤング係長

7月29日(土)

15:30~
■Saigenji @GYPSY AVALON

 前日持ちこたえてくれた天候に安心し、なんの根拠もなく「今日も大丈夫だろ」なんて思ってたら昼過ぎからポツポツ振り出した雨。結局本降りとなりだしたころ、GYPSY AVALONに登場したSaigenjiはいつもどおり最高のテンションで最高の演奏を見せてくれた。この日はパーカッションとの2人編成。レインコートの集団に対し、くどいくらいのコール&レスポンスで攻めまくる。フランジャーを利かせたアコギ、スネアの替わりにセットされたバンデイロ、勢いで乗り切るヒューマン・ビート・ボックス、お馴染みとなっている“(They long To Be) Close To You”の3拍子カヴァーなどなど。決まりごとを無視し〈俺ルール〉で突っ走るSaigenjiの快楽主義者っぷりはいつ観たって潔い。ラスト曲“NAMIMA”のフリーキーなヴォイス・パフォーマンスでは、初見の客も合わせて合唱が起こっておりました。揶揄でもなんでもなく、この人には〈Music Junkie〉の称号がふさわしい。*ヤング係長

16:30~
■KEN YOKOYAMA @GREEN STAGE


KEN YOKOYAMA

  お揃いのスーツでキメたザ・ハイヴスの〈キミたち本物のバカでしょ!?〉と突っ込みたくなる痛快ライヴが終わると我らがアニキ、横山健。99年にHi-STANDARDで出演した時は青空の下、モッシュ・サークルがそこら中にできてましたが今回は雨(ちなみにこの日のピーク)。それでも横山はワンパク少年の顔で「ヤバイね! 雨強くなってきたね! みんな泥んこになるのが楽しいよ!」と大はしゃぎし、最前ブロックはズブ濡れでダイヴ&モッシュ! 「前回のフジロックはビビってたんだよね……。後ろの人はどう思ってるのかなーって」と意外な告白をするも、「でも今日は全然気にならねー!」と高らかに笑い、ノスタルジーに浸る暇を一切与えない徹底的に前のめりなステージ。ベースのサージによる“Sukiyaki(上を向いて歩こう)”のカバーも聴けて、空は雨でも心は快晴!のライブでした。終演後にちゃっかり雨がやんだのもフジの神様のいたずらかな?*田家 大知

18:00~
■SONIC YOUTH @GREEN STAGE


ソニック・ユース

  昼過ぎに降り出した雨も小康状態で、穏やかな夕刻のひととき。〈GREEN STAGE〉は徐々に人が増え、本日のクライマックスに向けてにわかに賑やかになってきた。

 そこへ登場のソニック・ユースは、何だかとっても瑞々しく、生き生きしている。オリジナルの4人に戻って、初心に返ったのだろうか。飛び跳ねるキム・ゴードン、激しくギターをかき鳴らすサーストン・ムーア。重い雨雲を払うようなポジティブな音に、足下を気遣いながら歩いていた人が思わず前方に走り出す。途中、ジム・オルークがゲスト参加。あちら側の世界から降臨したようなノイズが、苗場の山々に響き、4人の演奏にさらなるエネルギーを注入していく。決して陽気なわけではないが、確固たるロック魂を感じさせた、今回のソニック・ユース。往年のファンはもとより、初体験者の心もガッツリ掴んだことだろう。*小田 由美子

19:40~
■電気グルーヴ @GREEN STAGE


電気グルーヴ

  ソニック・ユースを前に、レッド・ホット・チリ・ペッパーズを後ろに、〈GREEN STAGE〉という大舞台に立った電気グルーヴ。毎回ツアー単位でバック・トラックをその時の気分にあわせリアレンジしてくる彼らだが、新作も控えているという噂の今回のステージで飛び出したのは……いきなり大ヒット曲“N.O.”。続いて〈まりん、フジで合流?〉なんて一人歩きした噂を一蹴するかのようにジャーマン調のテクノ・トラックに変換された卓球アレンジの“Shangri-La”、近年舞台後ろでバック・トラックの操作に徹することが多かった卓球がステージ前面に立ち、苗場の夜を煽る。80'sビート&ダブ変換された“かっこいいジャンパー”、ピエール瀧熱唱の“あすなろサンシャイン”などヴォーカル曲中心のセット、終盤にはピエール瀧が富士山コスチュームに扮して“富士山”を熱唱、「富士山」コールを「フジロック!」コールに置き換え、貫禄のメガミックスでヘッドライナー直前の〈GREEN STAGE〉の熱を沸点まで盛り上げた。*原田 亮

21:30~
■RED HOT CHILLI PEPPERS @GREEN STAGE


レッド・ホット・チリ・ペッパーズ

  いよいよ本日の大トリ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの登場である。〈GREEN STAGE〉は既に後ろの方まで超満員。肌寒いくらいだった気温が、人の熱気でどんどん上昇するのを感じる。膨れ上がる期待を一身に背負って、メンバー登場!

 新譜『Stadium Arcadium』中心のラインナップ。だが“Me & My Friends”なんて18年も前の曲を挟んだりして、歴史の深さを見せつける。ヴォーカルで聴かせ、セッションで唸らせ、MCで笑わせる。4人が4人とも、人を惹きつけてやまない魅力を放ち、そこにレッチリとして存在するだけで、すべてOK!と思わせる引力を持つ。なかでもジョン(g)の堂々たるパフォーマンスは白眉。バンドの追っかけからメンバーに成り上がりながらも、どこか居心地悪そうだったジョン。しかし、今ここにいる彼はまるで別人。中盤ではビージーズの“How Deep Is Your Love”を熱唱するなど、無邪気な少年のようにキラキラしていた。迷えるギタリストは、いつの間にここまで成長したのだろう? トリを飾るにふさわしい、納得のパフォーマンス。その余韻はいつまでも続いていた。 *小田 由美子

00:00~
■RADIOSOULWAX presents NITEVERSIONSLIVE @RED MARQUEE

 オルタナティヴ・ロックからクラブ・クラシックまで喰い尽くす夜のパーティ・バンド、ソウルワックスがスペシャル・ライヴセットで登場。M“Pop Music”からジョーイ・ベルトラム“Energy Flash”まで、レイヴ小僧なら大興奮の古典ネタを次々と投入、シーケンス&生演奏で疾走するステージング、超タイト&スクエアな演奏は〈RED MARQUEE〉の屋内音響にバッチリとハマり、なにをやっても盛り上がる状態。ノンストップで疾走するステージングは寸分の狂いも無く、絶妙なブレイク展開でロック・オーディエンスを掴みまくり、「Don't Forget You Bite!」と吠える終局も〈音楽馬鹿の逆襲〉といった趣で最高だった。別働隊2メニーDJズのDJも大ネタ満載だったが、その消化の上手さという意味ではこちらのライヴに一票! *原田 亮

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介