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第93回 ─ 『BLUE CHRONICLE』を起点に始まるビートメイカーたちの新しい旅

Shin-Ski of Martiangang

連載
360°
公開
2006/07/06   21:00
ソース
『bounce』 277号(2006/6/25)
テキスト
文/狛犬

 『BLUE CHRONICLE』に参加した面々のなかでも、比較的早くからその名が知られてきたのはこのShin-Skiだろう。95年に渡米し、〈本場〉の洗礼を受けてヒップホップの制作活動をスタートさせた彼は、現地で出会ったDJリアルとMartiangangなるプロダクション・ユニットを結成し、マサチューセッツを拠点にさまざまなMCにビートを提供。やがてインサイトと意気投合し、彼の属するエレクトリックの『Life's A Struggle』に登場することで、日本でも早耳の間で知られるようになった才人だ。同作のリリースされた2003年に帰国した彼は、インサイトのソロ作やタイム・マシーン、ファンキーDLなど海外産のアンダーグラウンド・ヒップホップ作品を通じて、異様にクォリティーの高いビートを量産していく。

 一方ではDJ TONKやHIMUKIなどの和製ヒップホップ勢ともリンク、さらにはくるりをリミックスするなど活動の幅も拡大中のようで、今年に入ってからは女性シンガー、KAOのリミックス盤に曽我部恵一らと並んで抜擢され、ヒプノティックなエレクトロニカ調の音像を披露していた。そして間もなく登場するのが、彼と盟友のインサイトにDJ Ryowを交えたShinSight Trioとしてのデビュー作『Shallow Nights Blurry Moon』だ。温かくソウルフルなサンプリングとタイトなビートが極上のヴァイブを生み出したグッド・ループがこれでもかと詰め込まれ、インサイトのスムースな語り口とRyowのアグレッシヴなコスリも凄まじい。個々の今後も気になるが、まずはShinSight Trioの恐るべき成果を確認してみてほしい。高品質な仕上がりにブッ飛ばされるはずだ。
▼Shin-Skiの参加作品。

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