TIN HAT TRIO
『Book Of Silk』 (2004)
ギター、アコーディオン、ヴァイオリンによって緊張感漲るチェンバー・ミュージックを構築するトリオの4作目にして傑作。ジーナ・パーキンスらも参加し、息を呑む静謐感とコミカルなムードが奇妙に交差する。後を引く聴き心地は、過去作で共演したトム・ウェイツにも通じるもの。(大石)
BENEVENTO/RUSSO DUO
『Best Reason To Buy The Sun』 (2005)
マイク・ゴードンといっしょにツアーして本国で知名度を得た、NY基盤のキーボーディストとドラマーのデュオ。NY地下ジャズ・ファンクとシカゴ系ポスト・ロック、ジャム・バンド的喧騒感覚の巧みな掛け合わせ。本作の制作はベックのサポートでも知られるジョーイ・ワロンカー。
(佐藤)
THE CAMPBELL BROTHERS
『Can You Feel It?』 (2005)
セイクリッド・スティールに心酔するジョン・メデスキーが、ワードの再現とばかりにプロデュースを担当。ロバート・ランドルフの師匠筋にあたるヴェテラン・バンドをジャム・バンド文脈からディレクションした格好となる本作では、濃厚でありながらも多彩な新世代のゴスペル世界が演出されている。(大石)
SISTER GERTRUDE MORGAN
『King Britt Presents Sister Gertrude Morgan』 (2005)

ニューオーリンズの女性伝導師が69年に録った歌とタンバリンだけのロウな音源を、キング・ブリットがポリリズミックに再構築。黒い昂揚感を備えた絶唱がヴードゥーの泥にまみれたアシッド・ロックに乗って響き渡る。G・ラヴのブルース・ハープも印象的なゴスペル再発見盤です。(出嶌)
BOBBY PREVITTE
『The Coalition Of The Willing』 (2006)
作曲や編曲もイケるNYボーダレス音楽界の敏腕ドラマー、ボビー・プレヴィットのローパドープ移籍作。参加者はNYダウンタウン系とジャム・バンド系の選抜群で、プレヴィットは彼らを巧みに配置しながら、他に類を見ない、サイケな〈私の考えるジャズ・ロック〉盤を創出している。これはお見事!(佐藤)
CHARLIE HUNTER TRIO
『Copperopolis』 (2006)
いまやローパドープを代表する存在となった8弦ギターの魔術師。ハモンド・オルガンのような音色を奏でながらベース・パートも鳴らす大道芸的プレイが売りのテクニシャンだが、2004年の『Friends Seen And Unseen』に続くこの最新作はグッとロック寄りに。持ち味であるグルーヴィーなプレイが前面に出た充実作。(大石)
CHRISTIAN McBRIDE
『Live At Tonic』 Ropeadope/Pヴァイン(2006)
俊英ベーシストによる、NYのクラブにおけるライヴの模様を収めた3枚組。注目はゲスト陣で、チャーリー・ハンターやDJロジック、スクラッチといったローパドープ勢や、エリック・クラズノー(ソウライヴ)らが参加。現在の同レーベルを象徴するファットなジャズ・ファンク盤だ。(大石)