Ⅲ その後の流れと、現在の音楽シーンに見るジャイヴの影響力
〈芸人魂〉という点において脈々と受け継がれたジャイヴですが、ジャイヴの名曲そのものもまた時代を越えてカヴァーされ続けてきています。80年代にはジョー・ジャクソンがキャブ・キャロウェイやルイ・ジョーダンのナンバーを取り上げ、イギリスではシェヴァリエ・ブラザーズなど、ロカビリー・ブームの流れからそのルーツとしてのジャイヴ曲を演奏するバンドが出現。90年代に入ると、ブライアン・セッツァーがビッグバンドを率いたり、ジム・キャリー主演の映画「マスク」の効果もあり、ネオ・スウィングとも呼ばれるブームが巻き起こったりしました。
さて、日本におけるジャイヴというと……〈音楽と笑い〉という括りから眺めれば、古くは坊屋三郎のあきれたぼういずによる歌謡漫談にはまさしくジャイヴなハートがありました。その流れはソロバン振って歌い語ったトニー谷や、クレイジーキャッツへ。現在でいえば吾妻光良 & スウィンギン・バッパーズ、バンバンバザールなどは日本ならではのユーモアも兼ね備えつつ、本格的にジャイヴなサウンドを聴かせてくれるバンドと言えます。往年のジャイヴ名曲をイマの感覚ならではで料理したジャズ・シンガー、akikoの近作も記憶に新しいところ。
そんなこんな。スタイルとして、スピリットとして、世界のあらゆるところで時代を越えて、現在もジャイヴは溢れているわけです。
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