時代や世代を超えて輝き続けるジャパニーズ・ナンバーの数々。そんな名曲たちをカーステで流しながら、今日も気ままなドライヴへGO GO! 冨田ラボ『Shiplaunching』リリースを記念して、本誌好評連載〈ライド音タイム〉が、〈360°〉に勇んで出張してまいりました!
達也とトオルは、今日も仲良くドライヴ。どうやらタワレコにお買い物へ出掛けた帰りらしいですよ。
トオル「ふ~ん……」
達也「おい、車に乗りながら本読んでると、気分悪くなるぞ」
トオル「……」
達也「ところで何を熱心に読んでるんだよ」
トオル「bounce。冨田ラボの新譜が出るんだって。達也知ってる? 冨田ラボ」
達也「キリンジとかのプロデュースしてる人だろ。っつうか、前のアルバム、オレが聴かせてあげたんじゃん」
トオル「そうだっけ?」
達也「そうだっけ?って、たしかにあまり真剣に聴いてなかったようだったけどな。で、どうしてまた興味津々なの?」
トオル「いや実は美穂ちゃん……あっ、この前コンパで知り合った……」
達也「おまえ、オレには何にも言わないでこっそりコンパとかしてたんだ!」
トオル「だって、おまえ愛ちゃんがいるじゃんか。でね、その美穂ちゃんが、最近よく聴いてるんだって、冨田ラボを」
達也「へぇ~、それでか」
トオル「そう、それでなのよ」
達也「単純だなあ、おまえも……で、結構イイ感じなの? 美穂ちゃんってコとは」
トオル「まあ、向こうはどう思ってっかわかんないけど、オレ的にはかなりヒットなのよ。ちょっぴり気の強いところとか……」
達也「おまえのMっ気は昔からだからなあ……まあ、それはいいから、なんか音かけてよ。いつもの箱(注)、うしろにあるだろ」
トオル「ハイハイただいま……おっ!」
達也「どうした?」
トオル「〈Shiplaunching〉って書いてるやつがあるよ! これって、冨田ラボの新譜と同じタイトルじゃん!」
達也「へぇ~。でもまさか、普通にCDからダビングしたものじゃないだろ?」
トオル「うん。でも、CHEMISTRYとかSOULHEADとかメンツはカブってるよ」
達也「単なる偶然とは思えんが……」
トオル「でもさ、結構最近の音源が入ってるのに、なんで達也のパパはカセットにダビングしてんだろうね?」
達也「まあ、昔の人だからじゃない」
トオル「……」
達也「ん?」
トオル「ちょっと……うぐっ」
達也「あっ! だから言わんこっちゃない! ほら、窓開けて外の空気吸っとけって!」
◆達也……のほほ~んとキャンパス・ライフを送る大学2年生。意中の愛ちゃん(秋田出身)と友達以上恋人未満
◆トオル……達也のキャンパス仲間。お調子者だが意外と純情である
◆達也パパ……編集テープ作りが趣味の、ちょっと古風な音楽ファン。
(注)達也の車に積んである〈いつもの箱〉には、達也パパが編集したカセットがいっぱい入ってるんです!!