NEWS & COLUMN ニュース/記事

第71回 ─ ORANGE RANGE LIVE TOUR 005 ИATURAL@横浜アリーナ 12月14日(水)2005年

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2005/12/29   17:00
更新
2006/01/19   18:38
テキスト
文/もりひでゆき

2004年の大爆発に臆することなく、じっくりと自分たちの本質と向き合った最新アルバム『ИATURAL』において深みを増したORANGE RANGE。その圧倒的な人気に、成長を遂げた表現力と高いエンターテインメント性で応えた、アリーナツアー最終日の模様をお届け致します!

 

 何よりも音楽を愛し、誰よりも音楽を楽しみ、音楽で遊び倒す。ORANGE RANGEのそんな姿勢が好きだ。彼らにとって初めてのアリーナ・ツアー、その最終日となった横浜アリーナ公演でもあいかわらず5人のメンバーたちは、もちろん音楽としっかり戯れていた。

 でっかいステージ上には巨大なスクリーンや立派なセットが設置され、ド派手な特効も用意されていたわけだが、それらはあくまでもオマケ。会場に大きな興奮と感動を巻き起こしていたのは、言うまでもなく生身の5人が鳴らす純度100%の音楽だ。

最新アルバム『ИATURAL』からの楽曲をはじめ、誰もが知ってる大ヒットナンバーの連続攻撃は、凝った演出に頼らずとも文句ナシに楽しいエンターテインメントとして機能する。そして、時にはメロウなナンバーでシリアスなメッセージを投げかけることも忘れない。僕がORANGE RANGEのパフォーマンスを初めて観たのはデビュー直前、原宿のラフォーレ前で行われたゲリラライヴだったのだが、その時からすでに彼らのライヴが持っている圧倒的な魅力は垣間見えていたように思う。けれども、音楽に対する向き合い方はより真っ直ぐになっているし、音楽を表現するスキルは明らかに大きな成長を遂げている。そのことを、この日のライヴははっきりと見せつけていた。

周囲の雑音に流されることなく、ただただ音楽をたくさんの人たちに届けたいというピュアでナチュラルな気持ちをより明確に胸に刻んだORANGE RANGEは、僕なんかが想像する以上にスケールのでかいバンドになっているようだ。ライヴ終了後、ステージ脇のスクリーンには彼らがこのツアーをどれだけ楽しんで廻ってきたかを証明するオフショットの映像が映し出された。そして、そのバックには“キズナ”の歌ナシ、アコースティック・ヴァージョンが流れていたのだが、会場に残ったたくさんのオーディエンスたちがいつしか大合唱を始めていた。そんな感動の光景を眺めながらあらためて思った。ORANGE RANGEの強い意志は確実に浸透しているんだなぁ、と。で、僕はものすごくピースな気分で、ホクホクになって横浜を後にしたのだ。