ここ最近、特に2000年以降のポップ・フィールドにおける女性ソロ・シンガーの活躍ぶりを振り返ってみると、やはりアヴリル・ラヴィーンとノラ・ジョーンズの存在を外すことはできない。90年代のトレンドだった、簡素なサウンド・プロダクションや一人称的なストーリーで展開される詞世界などのメソッドは、現在もなお進化し続けているが、それ以外のアプローチで大ブレイクしシーンの流れを大きく変えているからだ。前者はパンク・ファッションとロックをカジュアルなかたちでパッケージングし、かたや後者はリラクゼーション・アイテムとしてジャズをスマートなかたちでパッケージ。新たな女性ソロ・シンガーの方向性をミュージック・シーンを越えて世間一般にまでアピールした。しかしここで重要なのは、両者のようにしっかりとしたキャラクターと高い完成度を備えた作品をリリースすれば、どんなアプローチを取ろうが現在のシーンはしっかりと受け止めてくれるということ。要はトレンドの意味合いがますます薄くなり個々の音楽そのものが問われる時代になったのである。ここでは、そんな〈いま〉にニュー・アルバムをリリースするソロ・ビューティーたちを紹介していこう。キャリア、サウンド・スタイル、キャラクター、いずれもがヴァラエティーに富み、作品も完成度の高いものばかりだ。