NEWS & COLUMN ニュース/記事

第60回 ─ パーティー黎明期の陰陽を描いた「マエストロ」がついにDVD化!! その背景を大紹介!!

NICKY SIANO マエストロ、「マエストロ」を語る

連載
360°
公開
2005/03/31   15:00
更新
2005/03/31   21:08
ソース
『bounce』 263号(2005/3/25)
テキスト
文/リョウ 原田

「楽しんで観たよ。ラリーと80年代の音楽についての素晴らしいトリビュート作品だと思う」。

 映画「マエストロ」についてそう語るのは、3台のターンテーブルを操り、レコードに込められたメッセージをフロアに投げかけてきたマエストロ、ニッキー・シアーノ。本編にはあまり登場しませんが、70年代初期~中盤にかけ開催された彼のパーティー〈The Gallery〉はラリー・レヴァンやフランキー・ナックルズがキッズ時代に通った(デコレーションや照明を手伝っていたという)特別なルーツでもあります。

「〈The Gallery〉は、何もない空間を改造して作られた最初のクラブだった。当時の僕は、平日は〈Studio 54〉で、週末は〈The Gallery〉でDJをしていたんだ。〈54〉は非常に商業的なクラブだったから、クラフトワークの“Trance Europe Express”をかけたのを機に解雇されたんだけど。(3台のターンテーブル使用については)効果音のレコードをずっと重ねられるように使いはじめたよ。MFSBの “Love Is The Message”にエフェクトを重ねたらクラウドが大合唱し、あまりの騒音に警察が来たのを覚えている」。

 そんな当時の雰囲気を伝えるべく彼が選曲したコンピが、昨年リリースされた『Nicky Siano's The Gallery』。ここにはポインター・シスターズ、トランプスらの〈ギャラリー・クラシックス〉がズラリと並んでいます。

「収録された曲の多くは75年以前の曲で、商業的なディスコにも影響を与えた曲。初期のシーンのベスト・ミュージックでありつつも、今日あまり聴くことができない名曲群だね。後のディスコの盛況はシーンの衰退にも繋がったんだけれど……」。

 故アーサー・ラッセルのエピソードなども飛び出ましたが、文字数の関係上ここまで。最後にニッキーから、音楽を愛する日本のファンへのメッセージを。

「君のハートすべてで夢を信じていれば、その夢は現実となる──Love Is The Message」。

→ニッキー・シアーノインタビュー完全版をこちらに掲載中! 今すぐチェック!

NICKY SIANO
〈The Loft〉を手掛けたアレックス・ロスナーをエンジニアに迎え、71年にNYで〈The Gallery〉をオープンしたDJ。78年にはアーサー・ラッセルと共同のダイナソー名義で“Kiss Me Again”を制作してヒットを記録。多くの友人をエイズで失ったショックからリタイアしていたが、近年に活動再開。

▼ニッキー・シアーノの関連盤