7周年を迎えた日本随一のヒップホップ・レーベル。文字どおり〈未来〉を切り拓いてきた名盤を紹介しよう!!
FUTURE SHOCK……“Rockit”を含むハービー・ハンコックの問題作と同じ名前を持つこのヒップホップ専門レーベルが日本の音楽シーン全体に与えてきた衝撃は大きい。80年代~90年代初頭にかけて、かのMAJOR FORCEを筆頭に、DJ DOC HOLIDAY(須永辰緒)主宰のRHYTHMなどのヒップホップ・レーベルはいくつか生まれていたが、クラブ文化の延長で誕生したそれらとは文脈を異にする、まさに〈ヒップホップ育ち〉なレーベルは初めてだった。控えめに言ってもコアなヒップホップのマス化は彼らの活動なくしてはありえなかったのではないだろうか? その第1弾リリースとなったZEEBRAのソロ・デビュー・シングル“真っ昼間”(97年7月)を皮切りに、UZI、SOUL SCREAMとコンスタントなリリースを続け、2003年からはインディー・ラインのFUTURE SHOCK FOUNDATIONもスタート……と、常に新たな血を取り込みながら前進してきたFUTURE SHOCKもついに7周年を迎えた。シーンの状況や背景は移ろっていても、その衝撃が今後も未来を作っていくことは間違いない。(轟ひろみ)
T.A.K. THE RHYMEHEAD 『表裏一体』(1997)
韻踏みにこだわった独特のフロウで初期U.B.G.を支えたT.A.K.。FUTURE SHOCKからの単独作品はこのEPのみとなったが、その後も数々の印象的な客演を残している。INOVADERの涼やかなトラックも冴えた“バビロンへ…”がいい。(轟)
VARIOUS ARTISTS 『SHOCK TO THE FUTURE』(1999)

レーベル初期を彩ったT.O.P RANKAZやDESPERADOらの楽曲を既発曲も含めて集大成したコンピ。当時の所属MCによるリレー曲“SHOCK TO THE FUTURE”も貴重だし、まだ若手扱いだったOZROSAURUSの熱演が光る。(轟)
ZEEBRA 『BASED ON A TRUE STORY』(2000)
〈パーティーチェッカー〉からサグへ。自身の経験してきたハードコアな側面に焦点を当てたセカンド・アルバム。完成されたストーリーテラーぶりと硬軟自在なスキルを備えた傑作。今作を期にシーン全体の流れも変わった。(稲村)
WORD SWINGAZ 『Let it go!~炎の五回裏』(2002)
現在はソロ活動に移行しているナニワの幽言導士も3タイトルをFUTURE SHOCKからリリース。このEPではアグレッシヴなタイガース応援歌“Let it go!”をはじめ、BLによるイキのいいトラックに乗せて2人のマイク捌きが牙を剥く。(轟)
UZI 『言霊』(2002)
平成の武士=UZIが10年にも及ぶ修行の賜物として放ったファースト・アルバム。格闘技や歴史を交えて語られる彼のラップは、押韻の連続と無駄のない言葉選び……すなわちUZIの生き様そのもの。戦いの連続から得た真の漢道を語りかける漢のヒップホップだ!(稲村)
OJ & ST 『ONE LIFE』(2003)
ZEEBRAのサイドキックとしてツアーやコンピなどで十分に経験を積んだ、U.B.G.期待の2MCによるデビュー・アルバム。U.B.G.直系のタイトな韻踏みと男らしさに溢れたアティテュードで、彼らの重ねた長いキャリアを十分に反映した内容となっている。(小野沢)
VARIOUS ARTISTS 『FUTURE SHOCK MUSEUM Reincarnate』(2004)
2002年以降の音源を用いたリミックス・アルバムで、SUBZEROの“SUPATECH”やDJ PMXの“BONDS”などGな衣替えが衝撃。他にもINOVADERやD-Originu、秋田犬どぶ六、GAS CRACKERZらがエントリー。(轟)
ZEEBRA 『THE RHYME ANIMAL』(1998)
クラシック。声の線は現在より細いが、律儀で洒脱な最高レヴェルのライミングを硬軟自在に駆使して魅せる巧さはこの時点から群を抜いていた。真摯な“未来への鍵”や軽快な“I'M STILL NO.1”などの大ネタ使いが光るトラックも完成度が高い。(轟)
AKEEM 『1974221』(1999)
タイトなライミング・スキルで次世代を担う実力者と期待されていたAKEEMがFUTURE SHOCKに唯一残したEP。トラック面でもZEEBRAやDJ DAI(D-Originu)などレーベルお馴染みのメンツがガッチリとサポートした忘れられない一枚だ。(小野沢)
OZROSAURUS 『ROLLIN' 045』(2001)
横浜が誇る日本のクラシック。光り輝くダイヤの原石のように、この後の大きな可能性を感じさせる内容は、名曲“Area Area”を筆頭に捨て曲は一切ナシ! 名古屋のM.O.S.A.D.、京都のMAGMAと合体した“YOUNG GUNZ”も必聴!(小野沢)