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第2回 ─ アッシャーがディアンジェロに!?  ディアンジェロが岡村ちゃんに!?

連載
ブラックミュージック ★ 肉 体 白 書
公開
2004/07/29   17:00
更新
2004/08/12   20:06
ソース
『bounce』 255号(2004/6/25)
テキスト
文/一瀬 大志

ある時は超巨大資本企業のシステム設計に携わるスーパー・プログラマー、ある時はTV Bros誌連載でもおなじみの理系男子コラムニスト、そしてある時はヒップホップ/R&Bのプロモクリップ映像の世界(肉体)にトコトン魅せられる一男子……一瀬大志がレペゼンする筋肉映像コラム。その名も〈ブラックミュージック★肉体白書〉。第二回はディアンジェロ&アッシャーのカラダに迫る!

肉体派読者諸君! 「過去10年にリリースされたアルバムの中から、最高の1枚を挙げろ」と言われて、即答できるか?!  俺はできる !!  そして、これまで世に出たプロモクリップの中から、最高の「肉ビデオ」を挙げろと言われても、また迷うことなく答えることができるだろう !!  前者は、ディアンジェロの『Voodoo』であり、後者は同アルバムからのシングル曲 "Untitled" のプロモクリップだ。

■ D'Angelo


ディアンジェロ『Voodoo』のジャケット写真(拡大)。見事に割れた腹直筋!

というわけで、第二回目にして本命登場。もはや、彼について書きたいがためにこの連載を引き受けたといっても過言ではない(ていうか、実際そうだ)。1974年2月11日、ヴァージニア生れのディアンジェロ。1974年1月1日熊本生まれの筆者にしてみるとまさに地球の裏と表で同じ時期にプリンスを聴きながら育った同級生であり、もし同じ場所に生まれていたなら、スゲー親友になっていたハズでして、いまごろ彼の幼なじみとしてデビューしててもおかしくない勢いだったのだ。

そんな筆者の妄想をよそに、1995年に21歳でひとりデビューしたディアンジェロ。ファースト・アルバム『Brown Sugar』のインナースリーヴでは、レザージャケットその他、品の良さそうな坊っちゃんスタイルでソウルミュージックの優等生的な雰囲気をかもしだしており、プロモクリップでもお行儀よくキーボードの前に座り、そのずんぐりとした体をゆらしつつ黙々とプレイしていていたのだが、その5年後。世界中のブラックミュージックファンが待ちわびていたセカンド・アルバム『Voodoo』では、いきなりジャケ写からハダカ!しかも、インナースリーヴの写真も、すべて上半身ハダカといったありさまで、まさに、しばらく姿が見えないなーと思っていたら、人が変わったようになって帰ってきた息子に、お母さんビックリといった感じだ(まあ、歌ってる内容はどちらも変わらずエロ息子なのだが)。

そして、極めつけがプリンスに捧げられたという名曲 "Untitled" のプロモクリップ。もうこれはねぇ、知り合いの女子には機会があれば必ず見せているのだが、二の腕好きの女子も、腹筋好きの女子も、背筋好きの女子も、みんなヨダレ垂らさんばかりに喰いいるように見てるね。ホント、あの歌にこのカラダはズルすぎる。しかも、このカメラワーク! さすが、肉ビデオ界の大御所ポール・ハンター。素材を活かしきったその撮りっぷりは、そのまま〈世界遺産〉の枠で放送してもおかしくないほどのクオリティー。あの汗がしたたり、発声とともに波打つ腹筋は、もはやディスカバリーチャンネルだよ。

というわけで、筆者の脳内グラミーとオスカーをダブル受賞したこの奇跡の作品。okayplayer.com にまだ置いてあるので、機会があれば是非チェックして欲しい。

■ Usher


アッシャー(着衣)

高島忠夫なみの「イェー」で世間を賑わし、ふだんあまり洋楽を聴かないヤングからも「ウッシャー」とか
「ニカウさん」と言われてしまうほどのブレイクを果たしたアッシャー君(25)。先月にはシングル・チャートで3曲同時ベスト10入りを果たすなど、もはやチェッカーズなみの快挙をなしとげ、今年の洋楽シーンをひとり占めしそうな勢いを見せているわけだが、ここでいったん大ヒットアルバム『Confessions』のプロモクリップにおける彼の脱ぎっぷりについて検証しておきたいと思う。

まず、ファースト・シングル "Yeah!" だが、ここでの彼は服を着たまま、例の「真顔ダンス」を披露。新機軸のサウンドに、ひとり盛り上がっちゃうなんてことはせず「あくまでクールな俺」を全面に押し出す作戦に打ってでた。

そしてセカンド・シングル "Burn" においては、カラミシーンでちょっとだけ肌を披露。もちろん、ファンはまだまだ欲求不満。モテおやじ用語でいうところの「ちょい見せ」で、ムラムラと燃える炎が世界中にひろがる仕組みだ。

そして、サード・シングル "Confessions Part II" のクライマックス。ガールフレンドに理解されず、苦悩するアッシャー君。頭を抱えこみ、地面にひれふした思ったら、ついにシャツを脱ぎ捨て上半身を披露!!  俺の告白を聞いてくれ! そして、本当の俺を見てくれ!!!(脱!)

さすが芸歴10年。若いときから苦労してきただけあって、自分の肉体の価値を正しく把握しており、それを最も効果的に見せる術を心得ているといった感じだ。

しかし、ここでひとつ指摘しておきたいことがある。その露出シーン、なんと先ほど紹介したディアンジェロ "Untitled" にソックリなのだ。特に黒バックにカメラにむかって語りかけるショットは、ディアンジェロのそれと見まちがえるほどだ。

実はこのクリップ、監督としてアッシャー本人も名前を連ねており、彼なりにディアンジェロをリスペクトした演出なのかもしれない。まだ観てない人はその辺のところも含めてMTV.comその他で確認してみて欲しい。

■ そして、驚愕の事実……

一方、当のディアンジェロはというと、前作から4年半も経過し、ついに三十路に突入。他人のアルバムへの客演などはあるものの、ここ数年、その姿は見えない。そして、ファンの待たされっぷりは、もはや岡村靖幸ファンといい勝負になりつつある。

そんな中、あまり期待せず、この原稿ついでに最近の動向を調べてみたところ、7月28日に発売されるラファエル・サディークのライヴ盤『All Hits At The House Of Blues』にゲスト出演していることが判明。それに関する情報を求めてラファエル・サディークのサイトに行ってみると、なんとそこには、そのときのライヴ映像らしきものがあるじゃないか! しかも、ディアンジェロの名前もそこに!

期待に胸をふくらませて再生ボタンを押し数分が経過。やはりここでは見られないのか……とあきらめかけた終盤、ついにディアンジェロ登場!! 暗くてよく見えないけど、見えないけど…、見えないけど……、プリンスばりのシャウトをみせるその姿は………。

あぁーーーーーーーーーっ! ここには書けない!!(泣)

もし俺がホントに同級生で、そばについていてあげられたら、こんなことにはならなかっただろうに……。ディアンジェロ君、もし君がこの連載を読んでたら、あのころの自分を取りもどすべく頑張って欲しい。そして俺は、君の妄想同級生として、いつまでも地球の裏側から見守っててやるからな!