USオルタナ界のモンスター、大復活祭!!

〈ライヴを観逃して、死ぬほど悔しいバンド〉リストの上位にランクされるピクシーズの周辺が賑やかだ。新装ベスト・アルバム『Best Of Pixies - Wave Of Mutilation』とライヴ&プロモ・クリップが収録されたDVD『Pixies』のリリース、オリジナル・アルバムのリイシュー、そして〈フジロック〉来襲、新作(!)の噂……復活である。
86年のボストンで〈ハスカー・ドゥとピーター、ポール&マリーが好きなメンバー求む〉の募集広告をきっかけに結成。度を超えたロック・ファンという資質がゆえ、ポップ・ミュージックの要素、曲構成の決まりごと、歌詞の冗長性と意味、そのすべてを圧縮することで、時代のスピード感を表現することに成功した唯一無二のバンドである。前戯なしのセックスのごとく、いきなりクライマックスが連なるような〈音塊〉的楽曲、狂気じみたインテリジェンスとイノセンス、ポップとノイズが愛憎まみえるロックは、UKから逆輸入的に母国USをも席捲。〈ストップ/スタート・ダイナミクス〉と評される曲構造を筆頭に、7年間に渡る活動の影響力は計り知れず、このバンドなしにニルヴァーナやレディオヘッドの存在は想像し難い。奇しくもニルヴァーナが世界を突破した93年に解散したが、今回の復活に際し、フロントマン、ブラック・フランシスには相当の確信があるに違いない。若人よ、活目せよ!