よもやま対談で探る、レゲエとヒップホップの明日はどっちだ?
大石「ここ最近、レゲエとヒップホップのガチンコ・タッグが多くなってきましたね。90年代初頭にも似たような動きがありましたけど」
出嶌「ただ、当時の動きはレゲエが全米アピールのためにヒップホップの力を借りる、みたいな一方通行感が何となくあったと思うんだけど、いまは対等で相互関係があるからオモロいよね。そうやって両者の距離が近くなってきたって感じたのはいつぐらいから?」
大石「やっぱショーン・ポールの“Gimme The Light”がNYのラジオでかかりまくってるっていう話を小耳に挟んだ昨年の秋ぐらいからですね。最初はちょっと意外だったけど。あの曲を初めて聴いたときはどう思いました?」
出嶌「そりゃ、カッコイイわな。最初ティンバランドがやってんのかと思ったぐらい、近い感じがしたし」
大石「確かに“Gimme The Light”のリディムを作ったトロイトンとか、〈Diwali〉を作ったレンキーとか20代のプロデューサーにはティンバ好きが多いんですよ」
出嶌「オケの点ではそういうことだろうね。で、それとは別の話で、アウトキャストなりネリーなり歌うようなラップをするMCたちがトップにいたから、ああいう語り口への抵抗がUSのリスナーのなかでは取り払われていて、それが下地になっていたんじゃないかと思うな。“Get Busy”みたいに圧迫感があるベース主体のリズムと滑らかなフロウの取り合わせは、ローカルのヒップホップ好きの間では浸透してたし」
大石「そういう意味では〈ヒップホップとレゲエが歩み寄ってる〉というよりは、もともと共通して持っていたバタツキ感みたいなものがちょうどシンクロしてるんでしょうね。そのぶん、互いの垣根なんかも越えやすくなってきて」
出嶌「下品で下世話な大衆音楽という意味ではいっしょだし、バングラのUSでの流行にも繋がってた気がするな。もちろんいまの南部モノも」
大石「例えばアウトキャストはレゲエ・アーティストからも人気がありますね。ウェイン・マーシャルやエレファント・マンもリメイクしてたし、キャラ立ちの部分での匂いも近いのかも。南部勢とレゲエのコラボも増えてほしいところです」
出嶌「逆に、ダンスホールのおかげで、似たような構造を持ってる南部のヒップホップが改めて躍進してるし、相乗効果はあるね。バスタ・ライムズみたいにモロな人もいれば、R・ケリーみたいにスタイルとしてレゲエを採り入れる人もいる」
大石「彼らにすれば、レゲエはひとつの最新トレンドみたいな捉え方なんでしょう。一方では、スーパーキャットもショーン・ポール流れで復活してきましたね。個人的にはT.O.K.とかがもっと絡んできたらおもしろいんですけど。彼らは現在のヒップホップ/R&Bとの相性もいいと思うんですけどねえ……」
出嶌「アレ? 『Def Jamaica』に参加してたよ?(↓↓↓)」