JESSE POWELL 『Jesse』 D3(2003) 故ルイル・サイラスJrの秘蔵っ子だったジェシだが、レーベルを移籍しての4作目でも彼の鮮やかなテナー・ヴォイスは健在だった。メジャー・レーベルにつきまとう諸々の約束事から解放されたのだろうか、コ・スターズら中堅どころの制作陣と仕上げた楽曲は極めて自由度が高い。マイケル・ジャクソンやデバージの名曲を晴れやかに歌う姿もいい。(林 剛)
GERALD LEVERT 『Stroke Of Genius』 Elektra(2003) この人の安定した活躍は後続たちへの励みの素かもしれない。LSGのアルバムも2003年だから、もはや〈励み〉どころか、シーンの精神的支柱としての役割を担っている感じすら受ける。ここまでくるともう〈Levert〉と言うだけで、そのブランド力は絶対である。そして、チャートも絶好調。そう、市場にニーズがなければ、ブランドなぞ成立しない。(JAM)
BILLY COOK 『Livin' My Dream』 Billionaire(2003) ヒューストン・ローカル発。一般的な知名度には乏しい人ながら、彼のこのアルバムが昨今の男性ソリスト・ブームをどれだけ底上げしてくれたかは計り知れない。歌もラップも線引きのない全米屈指のホット・ポイントから出現した人なだけに、鍛え上げ方の違いがまざまざ。大袈裟な話、もしこの盤がなかったら、このブームも延焼しなかった。(JAM)
DAVE HOLLISTER 『Real Talk』 Dreamworks(2003) かつて在籍したブラックストリートが停滞しようと、古巣のドリームワークスに舞い戻ったデイヴは相変わらず絶好調。大物感こそ薄いが、決してブレることのない安定感のある力強いヴォーカルはなかなか得難いもの。タンクやマイク・シティらの作るトラックをグッと自分側に引き寄せ、迷いなく歌う様が素晴らしい。どこまでもしぶとく逞しい歌野郎だ。(林 剛)
JAVIER 『Javier』 Capitol(2003) 王道R&Bの血統みたいなものがもしあったとしたら、そのサラブレッドに当たる存在なのがこのハヴィエア。ところが、〈王道〉でありながら、このタイプがいまはいちばんの人材難で、だからこそ彼の登場は大いなる歓迎を受けた。無理なひねりを加えぬスマートな作風に乗る伸びやかな歌声……これ以上にピースなムードを果たしてわれわれは必要とするだろうか?(JAM)
CALVIN RICHARDSON 『2:35 PM』 Hollywood/avex(2003) 時代錯誤とも思えるサム・クック節を冒頭からかます自信にまずは圧倒される。いまどきこれほどオールド・スクールな声を持ったシンガーも珍しいが、ソウルフルを極めた彼の歌を前にしては、新しい古いはどうでもいい。かつてアンジー・ストーンと歌った“More Than A Woman”をひとりで歌い直す姿に、オトコ時代の到来を感じさせる!?(林 剛)
AVANT 『Private Room』 Magic Johnson/Geffen(2003) 安定路線を行くアヴァントのサード・アルバムが2003年の男道を締め括ることとなった。基本は過去作同様の布陣による疑似R・ケリー……というか、ミディアム中心の王道サウンド。スティズルことスティーヴ・ハフの手捌きもいつもながらに冴え、ミックスはもちろんピーター・モクラン。甘めの歌声に自信と艶めかしさが宿る逸品だ。(出嶌孝次)