エミネム/50セント/D12/オビー・トライスほか
5月22日(金)~23日(土)千葉・幕張メッセ
筆者が観たのは22日。幕張メッセのホール3面をブチ抜いた会場に凄まじい人波。ふだんこういう〈コンサート〉然とした風景を見ないので戸惑ってしまった。後で聞いた話だと、2日間で延べ7万人が集まったとか! エミネムは2年前の〈フジロック〉に続く2度目の来日なのだが、その時の〈フジロック〉総入場者が約79,000人だったそうで……とうとうここまで来た、といった感じだ。
幕開け、遊園地を模したようなセットにいきなり主役のエミネムが登場して『The Eminem Show』からの曲を中心にタイトなマイク捌きを見せる。プルーフをはじめとするD12の面々、新人オビー・トライスも出入りして巧みなコンビネーションを聴かせてくれた。
中盤過ぎ、オールスターズ状態の集団パフォーマンスを経て、目当ての50セントが登場。武装したクルーを引き連れ、本人は上半身裸(撃ってみろよ!ってことか)、もちろん“Wanksta”! で、畳み掛けるのは“In Da Club”! 人波が一気にステージ方向へ押し寄せ、興奮状態はピークに。次いで“21 Questions”を披露して、ステージにはエミネムが戻った。
原色のTシャツに身を包んだエミネムは実にスポーティーで、優れたアスリートのようだ。だから、良し悪しの話ではなく、偽悪的なアンチ・ヒーローの季節を経て、「8 Mile」という青春アイドル映画(悪い意味じゃない)を演じきるに至ったエミネムにはこのうえなく相応しいショウだった。それはどの曲よりも「8 Mile」主題歌の“Lose Yourself”が満場をロックしたという事実のままに。それゆえなのか、50セントの放つ猥雑なヴァイブスと悪たれな振る舞いに、2年前に観たエミネムの姿を重ねずにはいられなかったのだ。