ニューヨーカーも混乱!? フィールド・デイ・フェス開催
貫禄のレディオヘッド、災難のベック……ニュージャージーで開催されたフィールド・デイ・ミュージック・フェスティバルでの悲喜こもごもをお届け!
ニューヨーク州の端ロングアイランドでの開催を予定し、大規模な野外フェスとして大きな話題となっていたフィールド・デイ・ミュージック・フェスティバル。しかし開催の約2週間前になって突然開催予定地であるサフォーク群より、「セキュリティー面において問題がある」として開催の許可を取り消され、結局サフォーク群での開催はキャンセル。開催3日前に突然場所をニュージャージーのジャイアンツ・スタジアムに移し、2日間予定していた開催も1日となった関係で出演バンドも大幅に減ってしまった。
6月7日の開催日当日は天気にまで見放されあいにくの大雨。ほとんど屋根で覆われる場所のないジャイアンツ・スタジアムに集まったオーディエンスはポンチョを身にまとってのライブ参加となった。突然の開催地の変更と当日の大雨でスタジアムは日中空席が目立ち、ステージ前のフィールドにいるオーディエンスも半分を埋めるくらいがやっとの人数。この日のステージはスタジアムの中の第1会場と、スタジアム外に設置された第2会場の2つで、第1会場に登場したのは、リズ・フェア、ベス・オートン、スピリチュアライズド、アンダーワールド、ブラー、ビースティー・ボーイズ、そしてトリのレディオヘッド。第2会場にはアワーズ、22-20's、ジェマ・ヘイズ、サーズデイ、マイ・モーニング・ジャケット、ブライト・アイズ、エリオット・スミス、パーティクルという面々が登場した。
ビースティー・ボーイズの前に登場する予定だったベックはステージ登場直前にバックステージからすべリ落ち、病院に運ばれたというアナウンスが会場に流れ、セッティング中だった彼のステージ設置は途中で中断。その後ビースティー・ボーイズ用のセットに取りかえられてしまっていた。ビースティー・ボーイズはステージ途中にブッシュ大統領の再選がないことをオーディエンスに問い掛けたり、ウェブサイトでの配信で話題となった反戦ソング“In A World Gone Mad”なども披露して観客を沸かせていた。しかし、この日はレディオヘッド目当てのファンがかなりの人数を占めていた模様で、夜9時を回ったステージ開始前にはフィールドはほとんど満杯状態、空席が目立っていた観覧席もかなりの人数で埋まっていた。
そのレディオヘッドのステージはニュー・アルバム『Hail To The Thief』からの先行シングルとなった“There There”で幕を開け、同じくニュー・アルバムからの“2+2=5”へと続いた。ステージ前半ではトム・ヨークが「ベックへ捧げる」と付け加えて“Lucky”を演奏。この日のハイライトとなったのはアンコールでの演奏となった“Talk Show Host”、そして「帰ったら暖かいものを飲んで、暖かいブランケットをまとい、暖かい人と一緒に自分を暖めるんだよ」とオーディエンスを気遣うトム・ヨークのMCに続いて演奏されたラスト・ソング“How To Dissapear Completely”。はっきり言って幕開けから散々なフェスティバルだったが、レディオヘッドのライブを観たことによって救われた人も多いはず。それくらいこの日の彼らのステージは素晴らしいものだった。感謝!
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