エクレクティックなヒップホップ・ミックスCDと旅に出よう!!
ご存知RhymesterのDJ JIN。ファンクやソウルに造詣が深く、現在までにも選曲を手掛けたコンピレーションや、スタックス音源を使用したファンクのミックスCDをリリースするなど、狭義のヒップホップ以外でもその手腕を発揮した作品をリリースしているのは有名だ。そして、今回はユニバーサル・グループという大きな枠組に眠る豊富なソースからチョイスして一本の流れを紡いだ壮大なミックスCD『THE SOUND OF UNIVERSE : MIXED BY DJ JIN FROM RHYMEST-ER』をリリースすることになった。
膨大な音源のなかから今回JINが選び出したのは、オールド・スクールから最新トラックまで、そしてヒップホップからブロークン・ビーツ、アフロビートまで……という幅広い楽曲たち。そこにスジを通すのがDJの腕の見せどころだが、彼はそれを易々とクリアしている。リージョン“Jingle Jungle”やトレンズ・オブ・カルチャー“Valley Of The Skinz”、エドOG &ダ・ブルドッグス“Easy Come Easy Goes（Jazz Poet Mix）”、ウルトラマグネティックMC'sの“Chorus Line Pt.2”など、リスニング・キャリアの長いリスナーも思わずウナるミドル・スクール以降の曲が自然と盛り込まれ、終盤にはフェミ・クティ、マーク・ド・クライヴ・ロー、ニーナ・シモン、4ヒーローなど、他ジャンルの曲をセンス良く繋ぎ、タイトルどおりに〈THE SOUND OF UNIVERSE〉な展開を聴かせてくれる。
このように曲名だけを挙げていくと共通性がないようにも感じるが、そこを違和感なく聴かせるのがDJ JINのマジック。曲ごとにフォーカスを当てても、それらが集まって形成される一枚のアルバムにフォーカスを当てても、そこには共通する一本の太いスジがしっかりと存在する。外見の派手さだけで火だるま的に上がっていくのではなく、あくまでも素材重視。素材の持つ味を活かし、ジワジワと体温とフロアの熱を上げていくような捌き方は、〈男は黙って……〉的な、これぞ職人仕事! 念のために断っておくが、地味なわけではない。選曲とミックスは、日本男児的な男らしさを随所に感じさせ、そのことは本人の意識とは別に音楽を通じてDJ JINの人間性をも伝えてくるかのような好内容だ。シリーズ化を望みたい。
