ロンドン・レディオ・ガイド(1): BBC RADIO ONE
世界中のラジオ番組がインターネットを通じて聴くことが可能になり、イギリスでも今年に入ってから各ラジオ局がアナログからデジタルへ切り替えを進めているよう。日本やアメリカよりも比較的、規制が緩いといわれるイギリス、いま英国全土でラジオ局がいくつあるかご存じですか? 90年のブロードキャスティング法の改訂によって、次々と個性的なインディペンデント・ステーションが開局し、2003年現在、BBCが50チャンネル、インディペンデント・ラジオが264チャンネル。それに加え、ロンドンだけでも、80以上の海賊ラジオ局が存在するといわれており、ウェブ・ラジオという形でアンダーグラウンドの音楽を発信し、コアなリスナーたちに支持を得ているカルト局もあったりして、すべて含めると500は軽く超えるのでは…。でもって、音楽ファンにとって、ラジオはまさに最新の情報や音をタダでチェックできる最高のツールなわけ。

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今回は、英国民の約68%の人が週に5分以上聴いているというBBC。なかでも大衆向けのRADIO2の次にリスナー数の多い、音楽チャンネル RADIO ONEを紹介。ロック、オルタナティヴ、R&B、ヒップホップ、ダンスとジャンルごとにエキスパートDJが切り盛りする人気番組の宝庫で、音楽ファンの欲求を十二分に満たしてくれる内容はさすがBBC。たった今(原稿執筆中)、ドリーム・チームの番組放送中。新作リリースを控えたMJコールがゲスト出演し、最新シングルを世界初のオンエア。こうしたハプニングはラジオでしか得られない楽しみ。ゲストのインタビューや有名DJによるミックス番組もさることながら、クラブやヴェニューと連動したライヴ・プログラムなども多く、日本にいながらロンドンの夜を楽しめてしまうのです。また、聴き逃した番組もトラック・バンク(アーカイブ)に残っているので、もう一度聴けるというのもウェブ・ラジオのいいところ。時差を乗り越えても、聴く価値あり、RADIO ONEのおすすめ番組をいくつか紹介します。
*ロンドン時間(GMT)に+8時間すると日本での放送時間になります。
●毎週水・木・金曜日(22:00 -0:00 GMT)
オルタナティヴ界のゴッドファーザー、ジョン・ピールによる〈Peel Sessions〉。無名アーティスト、レーベルを積極的に紹介。豪華ゲストも多数。膨大な数のデモテープから彼が発掘した新人はこの番組を通じて世界中の人たちの耳に届けられる。新しモノ好きに!
●毎週水曜日深夜(0:00 -2am GMT)
トーキンラウドの主宰者、ジャイルズ・ピーターソンによる〈Worldwide〉。ライヴ・プログラムが多く、ソウル、ジャズ、ヒップホップ、ハウス、ファンクなどクールな音楽が充実。CDコンピレーションもリリースされています。
●毎週木曜日深夜(0:00 -2am GMT)
アンダーグラウンド・ダンス・ミュージック派には〈One World〉。毎回違ったDJによるミックス番組。ヒップホップ、ブラジリアン、テクノまで完全網羅。4月10日にはキッド・コアラのライヴをオンエア予定。
●毎週金曜日(18:00 -21:00 GMT)
スーパーDJ、ピート・トンによるダンス番組〈Essential Selection〉。プログレッシブ・ハウス、トランス、テクノなどクラビング前のウォーミングアップに。イビザなどからのライヴもあり。
●毎週金・土(21:00-0:00 GMT)
ヒップホップ、R&Bの専門番組〈Westwood Rap Show〉。ヒット曲からアンダーグランド・チューンまで、通にはたまらない内容。NYからのライヴも。
●毎週金曜日深夜(1 -3am GMT)
ファビオ&グルーヴライダーの強力タッグによる100%ドラムンベース番組。最新トラックがいち早くオンエアされるので、DJはエアチェック必須。
●毎週土曜日深夜(2 -4am GMT)
〈Essential MIx〉はその名のとおり、世界中のDJ/アーティストによるミックス番組、ジャンルはさまざま。先日はDJシャドウが登場。過去のミックスやトラック・リストもチェックできる。
●毎週日曜日(10:00 -13:00 /1-3am GMT)
DJスプーニ、マイキーB、ティミー・マジックのドリーム・チームによるガラージ、ヒップヒップ、ドラムンベースをフィーチャーした専門番組。カッティングエッジな音を求めているリスナーに。
またRADIO ONE以外にもジャズ、ワールドミュージック、クラシックなどを扱うRADIO 3、ブラックミュージック専門の1Xtraなどもあるのでこちらも併せてチェックしてみて。(Tamami Yamaguchi /London)