いまUKロック・シーンが彼らに大注目。ロンドンに愛された新世代のロックンロール・バンド、リバティーンズ、ついに出撃!!
僕らは夢うつつのなかで出会ったんだ
彼らについて100の言葉を尽くして説明するよりも、彼ら自身の言葉を、まずは聞いてほしい。リバティーンズ。不思議なバンドである。その経歴は謎に包まれ、ホームレスだった時期もあれば、ロンドンで建物を不法占拠して音楽を作っていた時期もあるという。そのあたりのことから話を訊こうと思ったら、甘かった。
「僕らは夢うつつのなかで出会ったんだ。誰かが僕らのことを〈理想主義者たち〉と言ったんだけど、果たしてそれが当たっているのかは僕にはわからない。というか、仮に本当に理想主義者であったとしても、自分が理想主義者であることを認めてしまっていいのかどうかもわからない。その理想が何かにもよると思うんだけど、それは理想的なシナリオじゃないよね」。
今回、話を聞かせてくれたピーター・ドハーティ（ギター、ヴォーカル）の、真面目で頭のいい不思議くんぶりは、確かにちょっと近年見たことのなかったタイプ。ラッド志向の強かった90年代のUKロックには、こういう男はいなかった。事実、リバティーンズは凶暴なサウンドに反して、歌詞やその佇まいからは文学的な素養が見え隠れする。あえて言うなら、モリッシー以降途絶えていたロックの文脈が持ちうる文学性が、強烈な磁場を備えながらふたたび表舞台に立とうとする姿とでも言えようか。それでいて、〈文学性の復権〉を目標としているバンドでは決してない。少なくとも、元クラッシュのミック・ジョーンズがプロデュースを手掛けたデビュー・アルバム『Up The Bracket』のサウンドを聴けば――パンクとガレージ・ロックが自由に炸裂するさまを目の当たりにすれば――彼らの姿勢がヤワなものではないことが、はっきりわかるはず。では、彼らが何を見ているか。それについては、後ほどゆっくり説明するとして……。
