THE MOLDY PEACHES
The Moldy Peaches(2001)
「NME」誌が持ち上げ、ストロークスのフロント・アクトでも人気急上昇、なんてことはさておき、このハッピー・フラワーズみたいなジャケだけで良し! NYのアンチ・フォーク・シーン(?)からデビューした2人組。学芸会みたいな衣装を身に纏い、レッツ・シング・アウト! 舌っ足らずな歌い口、デタラメなようでしっかりとリリカル。ラップだってやっちゃう身の程知らず。ビバ、ヤング。(福田)
ADAM GREEN
Adam Green(2002)
そしてアダム・グリーンのソロ・アルバムは……。モルディ・ピーチズとほとんど同じジャケットという、やる気のなさに涙が出る一枚。しかし、バンド作品よりもより叙情的。テンダーな歌声が彼の真摯さを証明している。ベッドルーム・マナーに則った宅録作品で、その独り身の寂しさを作り笑いでやり過ごしているような風情。ローファイの先人たちのメランコリアよりも、のほほんとした脳天気具合が良い加減。(福田)
JEFFERY LEWIS
The Last Time I Did Acid Went Insane(2001)モルディ・ピーチズらとともに、アンチ・フォーック・シーンを代表するNYのシンガー・ソングライターにしてカートゥニスト。自分のコミックで構成したラフなジャケットそのままに、飾り気のない猥雑さがとってもリラクシン。仲間たちのワイワイガヤガヤしたサポートを受けて、生活の歌がユーモアたっぷりに、時にセンチメンタルにつづれ織られていく。さりげなく漂う街の匂いも印象的。(村尾)

VARIOUS ARTISTS
Rock And Roll 1
ラフ・トレードがテーマを決めて独自のセンスでコンパイルする好評コンピ〈Rough Trade Shops〉シリーズ。最新作は〈ロックンロール〉の名のもとに集められた2枚組46曲! ストゥージズから始まって、MC5、ゴーリーズ、プッシー・ガロア、ヘッドコーツ、バットホール・サーファーズなどなどコワモテ揃い。我が国からもギターウルフが参加して、史上最強のロックンロール・サミット開催中!!(村尾)
A.R.E. WEAPONS
Great Time
ブレイン、マット、トムという元ホームレス3人組によって結成。マネージメントは女優クロエ・セヴィニの弟ポール(ちなみに現在クロエはマットと交際中)。パルプのジャーヴィス・コッカーの推薦で、ラフ・トレードからデビュー(ジェフ・トラヴィスはパルプのマネージャーを長年務めている)、と華々しい経歴を持つA.R.E.ウェポンズ。これまで2枚のシングルをリリース。その音源を1枚にまとめたものが『Great Time』(トイズファクトリー)だ。“Street Gang”“New York Muscle”“Champion Chain”といった中学生並みのセンスのタイトルそのままに、ぐつぐつと燃えたぎる情熱が、80年代ニューウェイヴを腐らせたようなエレクトロ・ビートに乗せて炸裂。そのサウンドは、本人たち同様シーンに異臭を撒き散らす。ちなみに〈A.R.E.〉とは、Atomic(原子)、Revenge(復讐)、Extreme(極端)の略で特に意味はないとのこと。いいから早くアルバム作れって。(村尾)
サブ・レーベル、タグボートも個性派揃い!!
ラフ・トレード傘下で98年に設立されたレーベル、タグボート。才能あるインディペンデント・アーティストをサポートするために生まれたこのレーベルは、ロウのシングルをリリースすることからスタートした。そして、アルバムとして最初にリリースしたのは、なんとUKパンク・バンド、サブウェイ・セクトのヴォーカルだったヴィック・ゴダードが82年にレコーディングしたフェイク・ジャズ・アルバム『In T.R.O.U.B.L.E Again』。この組合わせからもわかるように、ラフ・トレード以上にクセのあるレーベルで、以降、オーストラリアから繊細な歌声を届けてくれるソーダストリーム、スー・トンプキンソン嬢のハネたヴォーカルがやたらカッコいい、ロックンロール・バンド、ライフ・ウィズアウト・ビルディングなど、個性豊かなアーティストを続々とリリース。加えてイサーンやスプリング・ヒール・ジャックといったエレクトロニクス系のアーティストもラインナップされている。セレクトにはレーベル・マネージャーでピアノ・マジックのメンバーでもあるグレン・ジョンソンも関わっているらしく、これからがますます楽しみ。本体に負けるな!!(村尾)

ヴィック・ゴダード『In T.R.O.U.B.L.E Again』(Tugboat)