あのニューヨーク・ドールズの中心人物であり、バスター・ポインデクスターとしてヒットを飛ばし、俳優としても活躍、さらに、カントリーブルースの系譜を遡る「David Johansen & The Harry Smiths」名義のアルバム『Shaker』が各方面から絶賛された男。伝説のデビッド・ヨハンセンに、キースが迫ります。
伝説的バンド、ニューヨーク・ドールズ──当時は愛好者もいれば、かたや忌み嫌うものもいたが、いまとなっては当時もっとも影響力の高かったバンドとして知られている。そのボーカル、そしてソングライターを務めていたことで知られているのが、デビッド・ヨハンセンである。
ドールズの解散後、ヨハンセンは充電期間を経た後、ロックシンガーとしてソロ活動を始めた。バスター・ポインデクスターという名前でラウンジのシンガーになってトロピカルなヒット曲を放ったかと思うと(ソカの曲、“Hot, Hot, Hot”は有名)、映画役者としても活動した(「愛されちゃって、マフィア」や「三人のゴースト」に出演)。
この、カメレオンのような変化ぶりにもかかわらず、彼が2000年にリリースしたブルース・アルバムはまたしても人々を驚かせた。とりわけそれが、オーディオファイル・レコーディング(オーディオマニア向け高品位レコード)専門のレーベルで、ジャズ・ミュージシャンたちと共にレコーディングされたという話は、人々を驚愕させた。
しかし、それを耳にした人たちが心地よい驚きをおぼえたのも事実である。彼のハードコアなファンたちは、こうした状況はある程度納得できる進化だと考えていた。ドールズのグラム的イメージをよそに、実はバンドのルーツがR&Bに起源することを彼らファンたちは知っていたのだ。実際、ソニー・ボーイ・ウィリアムソン、ボ・ディドリー、オーティス・レディング、マディ・ウォーターズ、アーチー・ベル&ザ・ドレルズのカバーのレコーディングもしている。ヨハンセンは、Chesky Recordsからの2作目『Shaker』で、ブルースに対する深い知識、原曲に対する素直な気持ちと、威勢のいいバンドサウンドを披露している。歴史的なフィールド・レコーディング作品を残しているハリー・スミスという「音楽家」を称え、彼の曲を集約し作り上げたこのカントリー・ブルースのアルバムは、後に大絶賛を呼び起こし、Mojo誌の「ブルース・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。
つい最近、彼にインタビューする機会に恵まれた。