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インタビュー

つしまみれ 『GIVING BLOOD』

 

結成12年を迎え、満を持して自身のレーベルを設立。アナログ機材で一発録りという、小細工なしの真剣勝負で挑んだ〈モジャー・デビュー〉作がここに完成!!

 

 

音楽も活動展開もオルタナティヴな女性トリオのつしまみれが自主レーベルを立ち上げ、ついに〈モジャー・デビュー〉を果たした。

「自分たちだけでいろいろなことをやったほうがカッコイイんじゃないかと思ったんです。メジャー・デビューした後に〈モジャー・デビュー〉ってことは、(2004年に最初の)CDを作ったぐらいから自然な流れで決めていました。計画はまずダジャレから始まったんですけど(笑)」(まり、ヴォーカル/ギター)。

マミム〈メ〉の次は〈モ〉ということで〈Mojor〉を自分たちのレーベル名にする発想は、言葉遊びが得意なつしまみれらしい。録音代もプレス代も自腹のこのレーベルからリリースした通算4枚目のフル・アルバム『GIVING BLOOD』では、原点回帰と進化を同時に遂げている。まず絶妙なコーラスなどのごく一部を除いてアナログ機材での一発録りだ。

「これまでレコーディングだからこそできる重ねもやってたけど、〈私たち、ライヴがいちばんカッコ良くて、ギターとベースとドラムと声しかないのにここまで表現できるっていうのが売りじゃん〉って思ってて、それを忠実にやろうと。私も弾きながら歌おうと」(まり)。

「(技術的な)演奏の良さよりも感情の昂りをピックアップして。勢いを重視して録ったので〈息〉がわかるというか、いちばん3人の血の流れてる感じみたいなのが見えるというか聴こえるかなー」(みずえ、ドラムス/コーラス)。

「どうすればもっと広がるんだろうなと、いつも試行錯誤してるんですけど。いまはやっぱり私たちは〈綺麗なものを伝えたい〉とかじゃなくて、〈この生き様〉を見てほしいみたいな感じで」(やよい、ベース/コーラス)。

ヴァラエティーに富む11曲で構成された約48分の新作では、初めてのオリジナル曲“猫は本当はやさしい生き物じゃない”や3番目ぐらいに作った“うつ病”など、ごく初期の曲も初CD化。9分強の“献血ソング”は千葉大学のサークル内で活動していた頃の曲だ。むろん現在進行形の音と言葉で〈リメイク〉し、気持ちが不変で曲が普遍的だから最新の曲と同じくフレッシュに輝く。展開が激しい楽曲のユニークさゆえにトリッキーにも見られるが、根はポップながらも批評性が潜む歌詞は視野が広く、しっかりした歌唱とビシッ!とした演奏に表れているように覚悟を決めている。

活動展開もアグレッシヴである。内外でコンスタントにツアーをする日本のバンドは珍しいし、結成12年目にもかかわらず前作から9か月のインターヴァルでアルバムを出すバンドも世界的にあまりいないし、何よりメンバー不変で続く女性バンド自体がレアなのだ。

「つしまみれはいちばんカッコ良くて世界中で大フィーヴァーを巻き起こすはずなのに、それが起きてないから〈おっかしいなー〉って思いながらずっとやってるみたいな(笑)」(まり)。

「つしまみれって、それぞれの責任感みたいなのが他より重い感じがするんです。真剣にメンバーお互いの人生を背負ってるから、この信念の下にカッコイイことをやり続けて花を咲かせたいみたいなのもある(笑)」(みずえ)。

元気をもらえる積極的なアティテュードが詰まった『GIVING BLOOD』の曲は、ワンマン・ツアーでたっぷりと体験できるはずだ。

 

▼つしまみれが参加した作品を紹介。

左から、SxOxUの2009年作『SxOxU』(ポニーキャニオン)、Golden Circleの2010年『Golden Circle of Friends』(Golden Circle)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年03月25日 18:13

更新: 2011年03月25日 18:13

ソース: bounce 329号 (2011年2月25日発行)

インタヴュー・文/行川和彦

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