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インタビュー

Dirty Old Men 『GUIDANCE』

 

 

 

昨年3月リリースのTOWER RECORDS限定EPは即SOLD OUT、以降2枚のミニ・アルバムのリリースと、
それに伴う細かい全国レコ発対バンツアーが反響を呼び、各ロック・メディアが11年ブレイク候補に挙げる
ウワサの4ピース・バンド<Dirty Old Men>がいよいよ待望のメジャー1stアルバムをリリース!
タイトルは『GUIDANCE』。ロック・バンドでしか鳴らせないポップネスがエモーショナルに溢れる大充実作が完成。

 

  

Dirty Old Menの音楽はとても弱くてとても強い。強くありたいと願う人すべてを救う自分たちの持つ特別な力を、彼らはこの『GUIDANCE』で解放することができたのだ。

 Dirty Old Menの音楽は、ポップスにしては
あまりにも激しく生々しく感情を曝け出し過ぎているし、
ロックにしてはあまりにもナイーヴで弱い部分を曝け出し過ぎている。
もちろん全てのポピュラー・ミュージックがポップスとロックに
分けられるわけではなく、どちらにも収まらない音楽は
いくらでもあっていいわけだが、それにしても彼らの音楽は過剰に
<曝け出し>過ぎているがゆえに、これまでの音楽の
あらゆる聴かれ方からはみ出している。

 

しかし、メジャー1stアルバム『GUIDANCE』を機に、
彼らはそのはみ出しっぷりによって
今までより遥かに多くのリスナーを獲得するはずだ。
彼らは2010年、結成から意外と長いキャリアの中でも特別な1年を過ごした。
そして自分たちの音楽が何であるかを初めてはっきりつかみ、
それが『GUIDANCE』というアルバムになった。
具体的にはインディーズ時代から長年、所属していた事務所から離れることと、
メジャー・デビューが同時進行したことにより、自分たちが人前で音楽を鳴らす意味と責任に
正面から向き合わざるを得なくなったのだが、そこで彼らが出した答えは
「Dirty Old Menは聴き手を救うために音楽を鳴らすバンドだ」ということだった。
『GUIDANCE』からは、はっきりとそのメッセージが聴こえてくる。

 

  04年、高校生の時に栃木で結成されて現在も宇都宮在住。
インディーズ時代もシングル1枚とミニ・アルバム3枚とフル・アルバム1枚をリリースしていて、
当時から多くのコア・ファンを持ちインディーズ・バンドとしてはかなり大きなセールスを挙げていた。
最大の特徴と武器はメイン・ソングライターの高津戸信幸が描く楽曲の物語性。
<魔法使い>などメルヘンチックなキーワードが登場することも多いし、
インディーズ時代の代表曲“桜川”などは
亡くした恋人との間に残された子供と共に生きていく青年が主人公という、
まるでテレビ・ドラマのような設定の物語を歌っているのだが、
あまりにも感情移入しきった表現で歌われているので、もしかして実話なのかと思うほどだ。

 

その並外れた想像力というか妄想力を存分に解放させて紡いだ楽曲で彼らは、
一度はまると抜けられなくなる独自の世界を構築してきた。
しかし、そんな学生時代から変わらない自由な感覚で活動していく中で、
全国ツアーをできるほどのスケールにバンドは成長し、
高津戸は自分が何のためにメンバーやスタッフの人生を背負いながら
人前で歌を歌っているのか疑問に思うようになる。
その時から、この『GUIDANCE』の創作は始まったと言えるだろう。

 

 

 大きなきっかけとなった楽曲は、このアルバムの最後から2番目に収録されている“パントマイム”。
ちょうど高津戸が悩みながらツアーを回っているころに、地方のライヴ・ハウスにあるカップルが
彼らのライヴを観にきた。その彼女の方は、癌で病院を抜け出して観にきたという。

彼らのインディーズ時代の楽曲の“moon wet with honey”の
「大丈夫…苦しみも悲しみも/はんぶんこずつ僕がもらうから/そのかわりに喜びも幸せももらうね」という
歌詞に勇気をもらいながら彼女は、彼氏と一緒に頑張って闘病していて、乗り越えることができたら
結婚しようと誓っているというのだ。
その2人との出会いから高津戸は、弱く泣き虫な人間である自分自身を
主人公にした楽曲“パントマイム”を書き上げる。

 

そして、その“パントマイム”を皮切りにありのままの自分がいかに弱いかを受け入れながら、
そんな自分の想像した世界が、切迫した状況を生きる人々に勇気を与えることができたのかを知るために
次々と楽曲を描き始める。
2010年の9月にリリースされたミニ・アルバム『somewhere』は、そのような楽曲を書き続けることで、
きっと答えに到達するはずだという確信だけを頼りに激しくもがいている作品だった。
そして、この『GUIDANCE』の楽曲には確かなゴールへと導かれていく感覚が宿るようになり、
遂に“約束の唄”というアルバムの1曲目であり、先行シングルにもなった楽曲が生まれる。

 

  

 

 

「泣きじゃくった君の笑顔を/僕が守るよ、この唄で/守ってみせるから/
例え世界が嘘だらけでも/君の手を離さないよ/この手だけは、唄だけは/嘘はつかないから」
このフレーズに、なぜ彼らの音楽がポップスとしてもロックとしても過剰であるかの答えがある。
とても弱い人間だったから、誰よりも痛みを感じやすく涙を流してしまう人間だったから、
その涙を物語に変えることができて、その弱い自分を自信を持って受け入れる強さを持つことができた。
だからDirty Old Menの音楽はとても弱くてとても強い。強くありたいと願う人すべてを救う
自分たちの持つ特別な力を、彼らはこの『GUIDANCE』で解放することができたのだ。

  

 

■NEW ALBUM『GUIDANCE』……now on sale!

SONG LIST
01.約束の唄
02.ことばのうえ
03.蛍火
04.ブリキ
05.chocworld
06.解いた手
07.ERASER
08.想イ花
09.願い事
10.パントマイム
11.Time Machine Music

 

■PROFILE…Dirty Old Men(ダーティ・オールド・メン)

栃木県宇都宮在住。高津戸信幸(Vo.&Gt.)、山下拓実(Gt.)、山田真光(Ba.)、野瀧真一(Dr.)による
4ピース・ロックバンド。
昨年3月にはTOWER RECORDS限定のEP「Dirty Old Men e.p.」をリリースし即完売させ、
ミニ・アルバムのレコ発全国ツアーやROCK IN JAPAN FES.2010他、夏フェスにも出演し大盛況となる。
今年は更なる飛躍が期待される。

 

   
記事内容:TOWER 2011/2/5号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2011年02月05日 12:00

更新: 2011年02月14日 09:16

ソース: 2011/2/5

古河 晋(ROCKIN' ON JAPAN)