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インタビュー

『MAGAZINE』の世界を作り上げたクリエイターたち

 

フル・アルバムとしては新作『MAGAZINE』が初めてながら、その背後を固めるプロデューサー/ソングライターの顔ぶれを見れば、ある種のチーム体制がデビュー当初からメイサの音楽観を具体化させてきたことに気付かされる。例えば、mochA名義で自身もデビューしているMOMO“mocha”N.は今回の『MAGAZINE』にて5曲を書いているが、彼女のモダンで赤裸々な言葉がコラボを重ねるたびに歌い手の芯を捉えつつある様子は、“As I Am”の座りの良さなどからも窺えるに違いない。

そして、そんなmochaのリリックを携えて安室奈美恵や三浦大知、青山テルマらの作品に成果を残してきたのが、最近は大知の最新シングル“Lullaby”やICONIQの“Light Ahead”といった佳曲を連発しているU-Key zoneだ。『MAGAZINE』では強気なメイサ節をゴリゴリ更新した電化アップ“SWITCH⇔”など4曲をプロデュースしているが、とりわけメランコリックな旋律がビートと粒立ちの良いビートが美しく絡む“Say Good Night☆”はmochaとのコンビが生み出してきた楽曲のなかでも最良の仕上がりじゃないだろうか。

一方、そのU-Key zoneも参加した宏実の新作『MAGIC』にキャッチーなフレイヴァーを注ぎ込んでいたカミカオルも、dee.cと制作したデビュー曲“LIKE THIS”からメイサを支えてきた一人(そのコンビでは今回も“LOVEHOLIC”を手掛けている)。中島美嘉や一十三十一、AAA、NORIKIYOまで幅広すぎるコラボ歴を誇る彼女は、自身の組んだユニット=The Hot Pantzの動きも注目されているマルチなシンガー・ソングライターだ。さらに、彼女がリリックを書いた4曲のうち“LOL!”をプロデュースしたJUNEは、マイケル・ジャクソンを思わせる作風で脚光を浴びたシンガーだったりする(現在はWAZZ UPに加入)。

もちろん、昨年はJASMINEや紗羅マリー、4Minuteの作品で良い仕事をしていたJeff Miyahara、そして安室奈美恵のブレーンとして盤石の支持を得るNao'ymtといった説明不要なヒットメイカーの関与も忘れちゃいけない。加えて、今回は海外勢のトラック提供もある。Jeffも参加したユニーク『From Brooklyn To You』が記憶に新しいフレドロは、ションテルやクリスティーナ・ミリアン、谷村奈南らを手掛けてきたストックホルムの敏腕で(東方神起“どうして君を好きになってしまったんだろう?”の作者でもある)、今回は“CELEBRATE”でメイサと邂逅。一方、“BYE BYE MY FRIEND”を手掛けたクーヤは、ショーン・デスマンやガーリシャスといった地元産品からキャンディやネリーなどのUSアーバンにまで幅を利かせるカナダのプロダクションだ。

いずれのクリエイターも現在進行形のアーバン・ミュージックを基盤にしている点は共通する。そして、そのなかに深化したチーム・プレイと新鮮な手合わせを巧く混在させたことこそが、聴き応えたっぷりな『MAGAZINE』に高い充実度をもたらしているのだろう。

 

▼関連作を一部紹介。

左から、mochAの2010年作『WARNING』(electreet)、安室奈美恵の2009年作『Past<Future』(avex trax)、ICONIQの2010年作『Light Ahead』(rhythm zone)、三浦大知の2010年のシングル“Lullaby”(SONIC GROOVE)、宏実のニュー・アルバム『MAGIC』(Sugabee)、中島美嘉の2010年作『STAR』(ソニー)、JASMINEの2010年作『GOLD』(ソニー)、紗羅マリーの2010年作『MY NAME IS』(avex trax)、JUNEの2009年のシングル“Always”(ソニー)、ユニークの2010年作『From Brooklyn To You』(Manhattan/LEXINGTON)、ガーリシャスの2010年作『Rebuild』(Universal Canada)、キャンディの2010年作『Kandi Koated』(Kandi Koated)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年01月26日 18:03

更新: 2011年01月26日 18:14

ソース: bounce SPECIAL (2011年1月25日発行)

文/出嶌孝次