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インタビュー

オレスカバンド 『COLOR』

 

自分らの音楽って何や?──〈らしさ〉を極めながら、新たなバンドの表情を色とりどりに描き出していったニュー・アルバム『COLOR』

 

 

これはもう、新たなデビュー・アルバムと言っても良いのでは? 一気に広がった楽曲の幅と深み、それに対応する確かな演奏力、そして何より〈音楽がしたいっ!〉というヤル気がどこを聴いても溢れ出す。約3年ぶりとなるオレスカバンドのフル・アルバム『COLOR』は、1年半に及ぶレコーディングの成果を収めた大充実の一枚だ。

「自分らの音楽って何や?という自問自答から始まったんですよ」(ハヤミ、トロンボーン)。

「2008年の〈ワープド・ツアー〉が終わってアメリカから帰ってきて、改めて日本で活動する時に、いま一度〈オレスカバンドのスカ〉を作ってみようということで、レピッシュのtatsuさんといっしょに作業を始めたんです。真剣にぶつかり合いながら作ったんで、時間はかかったんですけど、やった甲斐がある作品になったと思います」(tae、ドラムス)。

1曲目“my beat”から、ビートの強さとホーンの突破力が以前とまるで違う。前半は明るくパワフルなスカ+ロック・ナンバーが続き、中盤にはインスト“moRICOism”をはじめ、オーセンティックなスカの作法を身につけた楽曲がズラリと並ぶ。先行シングル“自転車”など2曲をプロデュースした堂島孝平が、ポップな歌モノとしてのオレスカバンドの魅力を引き出しているのも聴きどころ。女性ならではの華やかな存在感が、シンプルな構成の楽曲をも艶やかに輝かせている。

「表現方法を広げたかったんです。まずスカ・バンドの基盤を固めて、そこから広がって歌モノに行ったり、いろんなことを表現するうちに自分たちを知っていった感じ」(ハヤミ)。

「歌の面で、ひとつのことを表現する時にたくさんのアイデアを持って作っていくことを、堂島さんに学びました。tatsuさんとやった12曲のうえに堂島さんとやった2曲ができて、やっと自分たちが自信を持てる作品になっと思います」(tae)。

8曲目“ジェットウェーブ”からはパンク、ジャズ、ファンクなどふりかけるスパイスを1曲ごとに変えながらアップテンポで一気に突っ走り、すべてを温かく力強く包み込むメッセージ・ソング“始まりが続く世界”の深い余韻に至る全14曲。極めて前向きな後味が残る作品だが、なかには成長していくことへの悩みや不安を率直に打ち明けたシリアスな歌詞もある。喜怒哀楽をひっくるめ、21歳になった〈いま〉を精一杯に生きる女子6人のリアルな心境が伝わってくるのも、このアルバムの大きな魅力だ。

「友達に聴いてもらって、〈落ち着いたな〉って言う人もいたんですよ。ウチらからしたら、肩の力が抜けたというか、楽しいことはもっと楽しいと思えてるんですけどね」(tae)。

「今年で8年目なんですけど、ここまで来ると自分の人生のなかにオレスカバンドがあるし、うちらの人生に寄り添った曲たちが生まれるのはすごい自然なことだし。めっちゃ楽しい時もあるけどテンション低い時もあるし、そういう自分も隠したくないんですよね。そういうウチらがライヴをやれば、もっとお客さんと心の底から繋がれるんちゃうかな?って。楽しい時だけいっしょにおれる友達じゃなくて、どんな時でも横におる友達はかけがえのない存在やし、そういう存在になりたいなって、いますごく思います」(ハヤミ)。

自分たちの〈COLOR〉=特色はこれだという、ストレートなタイトルに強い自覚と自信が滲む。デビュー5年目、オレスカバンドの新たなステップはここから始まる。

「こないだMCで〈いい時代を作ろうね!〉って言ったら、お客さんが〈ウォーッ!〉ってなったんですよ。その時、〈ずっとバンドがしたいな〉ってほんまに思いました。そうやってひとつになって、みんなでいい時代を作っていきたいです」(ハヤミ)。

 

▼関連作品を紹介。

オレスカバンドのライヴDVD「46 ORESKABAND~WARPED TOUR 2008~」(TERRY DOLLER RECORD$)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年12月16日 15:16

更新: 2010年12月16日 15:16

ソース: bounce 327号 (2010年11月25日発行)

インタヴュー・文/宮本英夫

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