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インタビュー

宇多田ヒカル 『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2』

 

 

 

来年からしばらくの間、アーティスト活動を一時休止する宇多田ヒカルが、
11/24にベスト・アルバム『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2』をリリースする。
今作はこの6年間に発表したシングル曲を収録したDISC-1と新曲5曲を収録したDISC-2をパックした、
宇多田ヒカル初の2枚組作品だ。

 

「実際今までも2年間ぐらいリリースがなかった時もあったんだけど、今回はみんなにちゃんと<休みます>って言ってから休もうと思ったの」(宇多田ヒカル)

 

 「実際今までも2年間ぐらいリリースがなかった時もあったんだけど、
今回はみんなにちゃんと<休みます>って言ってから休もうと思ったの。
お店みたいに「都合により何日から何日まで営業をお休みします」って
張り紙を出さないと、お客さんも「いつ開くのかなあ」ってお店の前で
待っちゃうじゃない?」

 

 活動を一時休止する前に
ベスト・アルバム『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2』をリリースすることを決めたのは、自分の中に言いたいこと、みんなに伝えたいことがあったから。
そのため彼女は新曲を作ったのだった。

 

「ただ、“嵐の女神”と“Show Me Love(Not A Dream)”の2曲は、
2年くらい前にデモのレコーディングをしていて、一応完成っていうところまでやったの。
でも、歌詞がホントにひどくて……。で、出すタイミングもなくずっと寝かしてあったんだけど、
今回新曲を入れようって決めた時に、あの未消化だった2曲と向き合わなきゃと思って、
歌詞をほぼ全部書き直したんだよね。
ホント、書き直すのはすんごく難しくて苦しかったけど、
あの時向き合えなかったことと向き合えて、ホントに書き直して良かったと思った」

 

自分の母親に<ありがとう>という思いをちゃんと伝えられるようになった今の自分を、
素直な言葉で綴った“嵐の女神”。

 

活動一時休止という大きな決断をするまでの彼女の心境が感じ取れる“Show Me Love(Not A Dream)”。
ひとつひとつの言葉に決意が見える歌詞は、まさに<これが今の私です!>と言っているかのようだ。

 

そしてDISC-2の3曲目“Goodbye Happiness”は、ラヴ・ソングとして成立させながらも、
過去の自分と和解することで見えてきた今の自分の思いを書いている。
「誰かに乗り換えたりしません」という印象的なフレーズは、
宇多田ヒカルは宇多田ヒカルとしてこれからも生きていこうとしている証しなんだと思う。

 

 

 

 

 さて、4曲目“Hymne a l'amour~愛のアンセム~”は、
彼女が出演しているペプシネックスCMで流れている曲。

 

「これはCMから始まった企画。なんでフランス語の曲だったかっていうと、
最初はすごいテクニカルな問題から選ばれたのね。
宇多田ヒカルとUtadaで契約している別々のレコード会社間の契約の状況によって。
でも、今回はあくまでも宇多田ヒカルとしてやりたかったから、
「フランス語だったらいいんじゃね?」って。で、自分で実際iPodで聴いているフランス語の歌が
エディット・ピアフだったから、「エディット・ピアフって言ったら、やっぱり“愛の賛歌”だべ!」、みたいな感じで決めちゃったの(笑)」

 

 宇多田ヒカルは歌詞の一部分を訳詞し、そこに「私の実体験からくる、今の心境みたいなものを。
今の日本人に言いたいメッセージっていうのも含めた」
のだとか。

 

「だから、CMでフランス語の部分だけ聴いても、なんか「おしゃれだね」で終わっちゃうのは
怖かったんだけど。この曲は特に日本語の歌詞の部分を聴いてもらわないと意味がないと思う」

 

5曲目“Can't Wait 'Til Christmas”は、宇多田ヒカル初のクリスマス・ソング。

 

「周りには歌詞がほのぼのしててかわいいって言われたんだけど、
私としてはいわゆるクリスマスのお祭りムード的なロマンチックな感じじゃなくて、
もっとほっこりした田舎の風景とか描きたかったのね。<Not東京>、<Yes,村!>みたいな?
おしゃれな夜景じゃなくて、雪山が見えて、その前に湖があって、そこにちょっと渡り鳥が
一瞬パタパタって止まって、「あ、はぐれちゃったのかな? どうしたんだろう」みたいな、
そういう景色を描きたかったの」

 

ところで、宇多田ヒカルが<初回限定盤>というものを出すのは、意外なことに今回が初めて。

 

「豪華なパッケージってやってみたかったの。
いいジャケットもできたし、特典とかあったらみんな喜んでくれるかなあと思って」

 

特典は宇多田ヒカルが作った<KUMA POWER>のロゴが入った「くまお守り」。

 

「最初はね、KUMA POWERなんてふざけ過ぎかな!?って思ったりもしたんだけど(笑)、
考えれば考えるほどじわじわ来ちゃって。優しさとか弱さとか健気な感じも含めて、
すんごいピュアな感じがするから、なんか元気がもらえるぞ、なんか励まされちゃうぞ! みたいな?
うん。なんか弱さっていいなって思ったの。弱さを否定するとか、強くなくちゃいけないとか、
泣いちゃいけないとか、かわい子ぶってるって思われたくないから
媚びるようなことをしたくないとか……。そういうのってやっぱり良くないよな、
全部いいじゃん! っていうのも含めて、KUMA POWERバーン! みたいな感じなんだよね」

  

 

 

 

 

 

■NEW Album『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2』……11/24 on sale!

SONG LIST

DISC-1
01.Prisoner Of Love(フジテレビ系ドラマ「ラスト・フレンズ」主題歌)
02.Stay Gold(花王「アジエンス」新CMソング)
03.HEART STATION(レコード会社直営♪CMソング)
04.Kiss & Cry(日清カップヌードルTVCM FREEDOMシリーズ 新テーマソング)
05.Beautiful World(「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」テーマソング)
06.Flavor Of Life -Ballad Version-(TBS系ドラマ「花より男子2」イメージソング)
07.ぼくはくま(NHK みんなのうた 2006年 10月~11月のうた)
08.This Is Love(日清カップヌードルFREEDOM キャンペーン・テーマソング)
09.Keep Tryin'(LISMO! au LISTEN MOBILE SERVICE TVCM タイアップソング)
10.Passion(ゲームソフト「KINGDOM HEARTS II」テーマソング)
11.Be My Last(映画「春の雪」主題歌)
12.誰かの願いが叶うころ(映画「CASSHERN」テーマソング)
13.Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-(「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」テーマソング)

DISC-2
01.嵐の女神
02.Show Me Love(Not A Dream)
03.Goodbye Happiness
04.Hymne a l'amour ~愛のアンセム~ (ペプシネックスCMソング)
05.Can't Wait 'Til Christmas

 

■LIVE……

・宇多田ヒカル“WILD LIFE”
12/8(水)、9(木) 横浜アリーナ

 

■PROFILE…宇多田 ヒカル(ウタダ ヒカル)

  98年にシングル「Automatic/time will tell」でデビュー。
非凡な才能を持つアーティストである彼女の作品は、スマッシュ・ヒットを続け、
幅広い世代から絶大な支持を獲得している。8月に年内をもってアーティスト活動を一時休止することを発表。

 

 

 

   
記事内容:TOWER 2010/11/20号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2010年11月19日 12:00

更新: 2010年11月19日 13:02

ソース: 2010/11/20

松浦靖恵