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インタビュー

水樹奈々 『IMPACT EXCITER』

 

 

 

アルバム・シングルの両チャートで声優初の週間1位を獲得、年末には「NHK紅白歌合戦」にも出場した
水樹奈々。
だが、そうした<事実>以上に、実は水樹奈々の音楽それ自体が世の中に広く浸透している。
最新アルバム『IMPACT EXCITER』は、そんな<水樹音楽>の結晶ともいえる密度の高い
1枚に仕上がった。

 

「自分が歌いたいもの、身体が求めているものを歌う。そのスタンスはずっと変わってないです」(水樹奈々)

 

  1位獲得、紅白出場……そうした枕詞付きで紹介されることを「素直に嬉しい」という。謙虚というより、無邪気。彼女と話していると、「とにかく音楽を作ることが楽しくて仕方ない」といった雰囲気が伝わってくる。


「<声優アーティスト>という存在を今まで知らなかった方にも注目していただける機会が増え、それはすごく嬉しく思っています。ただ、自分自身も、音楽作りのスタンスも何も変わらない。変わったことといえば、街中でより幅広い層の方に声をかけられるようになったことぐらい(笑)。
これまでのスタイルを崩さず、伸び伸びと、純粋に楽しんで音楽を作っていきたいと思っています」

 

 その、<変わらないスタンス>とは?

 「歌いたい曲を歌う! (笑) すごくシンプルなことで、
それはデビューしたときからずっと変わってないですね。
「こうじゃなくちゃいけない」と型にハメたり、
テーマを設定してそこに寄せていくことはしない。
もともと計算して物事を進めるのが苦手なタイプなので、
今、自分が歌いたいもの、身体が求めているものを歌っているだけなんです」

 

 自分が歌いたいと思って歌った曲で、リスナーが心が動かされる--。
これほど幸せなことはそうそうないかもしれない。
そこにある<コミュニケーション>こそが、水樹奈々にとっては音楽制作の醍醐味なのだ。

「私は「歌を歌う人」であり「音楽を作る人」であり、どちらの要素もあるとは思うんですが、
自分の中では<伝える人>という意識が強いんです。
それは声優の仕事にも共通することだし、作詞や作曲をするときもそう。
自分の伝えたい気持ちをどうやったら皆さんに届けられるだろうって、
<伝えたい>、<届けたい>という気持ちが一番大きいですね」

 





もちろん、8枚目のオリジナルアルバム『IMPACT EXCITER』も、
そうした彼女の基本理念に沿って作られている。
特にコンセプトは設けず、想いを届けるために、歌いたい楽曲を楽しんで歌う。
もちろんそこには、前作からの確かな<進化>も存在する。

「目指したのは、振り切ることと、攻めること。それは毎回思っていることではあるんですけど、
今回は7月7日=「奈々の日」にリリースされるアルバムだし、今年はCDデビュー10周年の節目の年。
すごく大事なアルバムだからこそ、守らずに攻めようと。
前々作『GREAT ACTIVITY』と前作『ULTIMATE DIAMOND』は自分の中でも満足度の高いアルバムで、
だからこそ、それとは違うアプローチでどれだけ攻められるかが課題でした。
さらに、水樹奈々の音楽の核となる部分はブレずに進化させたいと思っていたので、
よりハードルの高い楽曲がたくさん生まれました。
特に“NEXT ARCADIA”や“ミュステリオン”はトリプルS級の難易度で、
本当にチャレンジングな楽曲でしたね(笑)」

 

ハードに、テクニカルに突き抜けるだけではない。自ら作詞作曲した“アルビレオ”は、エキゾチックな雰囲気の異色な曲。

「アルバムごとに作曲をするのは、水樹奈々の体内に流れているものを感じてもらいたいから。
言葉にできないことを曲では表現できたりするし、アルバムだからこそできるチャレンジもある。
私はゲーム音楽が好きなんですが、今回の“アルビレオ”はまさにゲームの序章で流れてきそうな曲。
旅人が生まれ育った町を後にするような、そんな映像を思い浮かべながら書きました」

 

 また、友人でもあるアルパ奏者・上松美香の曲に水樹が詞をつけた“7月7日”は、
優しさと温もりを感じさせるラヴ・ソング。シンプルな分、歌がダイレクトに届いてくる。

「彼女の曲に歌詞が付くのはこれが初めてで、そこに歌をのせることができるのは
とても光栄なことでしたが、だからこそ作詞のハードルは高かった。
メロディー自体に存在感があるので、そこに歌詞を乗せることで曲の世界観を壊したくはないし、
より広がりを持たせるためにはどうしたらいいだろうと。
言葉のチョイスや全体のストーリーは、今までにないくらい悩みました。
レコーディングは、生楽器で一発録り。そんな温もりやライヴ感が、聴いてくれる人に届いたら嬉しいですね」

 


 

このアルバムに限らず、水樹奈々はこれまでも本当にさまざまな楽曲を歌ってきた。
それらは彼女の直感でセレクトされたものだが、実はすべての曲に共通する要素がある。

「私の中の根底にあるのは、やっぱり演歌や歌謡曲、そしてアニソンなんです。
そこに共通するのは、キャッチーなメロディー。
特にアニソンは曲調の振り幅がものすごく広く、90秒(※TV-Size)で作品世界を表現しているので、
自ずとキャッチーなメロディーが多いと思うんです。
そういった曲を小さい頃から聴いて育っているのでいろいろな楽曲を歌いたくなるんだと思うし、
これからも攻めの姿勢で、常に新しいものにチャレンジしていきたいと思ってます」

 

■ LIVE…


NANA MIZUKI LIVE GAMES 2010 RED STAGE supported by アニメロミックス 7/24(土) 埼玉 西武ドーム
NANA MIZUKI LIVE GAMES 2010 BLUE STAGE supported by アニメロミックス 7/25(日) 埼玉 西武ドーム
詳細はHPまで。

■ PROFILE…水樹奈々 (ミズキナナ)

 声優、歌手、ラジオ・パーソナリティ、ナレーターとして幅広く活躍。
7thアルバム『ULTIMATEDIAMOND』、21stシングル『PHANTOM MINDS』でオリコンウィークリー・チャート1位を獲得。
2009年「NHK紅白歌合戦」出場。 

 


記事内容:TOWER 2010/07/05号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2010年07月05日 00:00

更新: 2010年07月05日 11:05

ソース: 2010/07/05

水上じろう