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インタビュー

Superfly 『WHITE』

 

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[ interview ]

 ベストアルバムを挟み、オリジナルとしては前作『Force』以来、実に2年8ヶ月ぶりとなる通算5枚目のアルバム『WHITE』を完成させたSuperfly。自身を真っ白なキャンパスに見立て、様々なクリエイターの感性に染まることをテーマにした本作は、お互いのクリエイティヴィティに刺激を与え合いながら、新たな世界への扉を開いた作品となっている。

どんな色にも染まれる<真っ白でいたい>というのがコンセプト。最終的には、いろんな色を混ぜた艶やかな黒になりました


―4thアルバム『Force』以来、約3年ぶりのオリジナルアルバムになりますが、どんな作品にしようと考えて始まりました?

「前作は、とにかく自分の内面を掘り下げて、シンガーソングライターのような姿勢で臨んだアルバムだったんですけど、思いの外、自分自身と深く向き合うことができたし、ちゃんと自分を表現できたなっていう自信もついて。そのあとで、これまではずっと、何かに影響されたくない、何にも混ざってない自分を出そうと頑なになっていた時期があったなと思ったんですね。もちろん、そういう時期も必要だったとは思うけど、外から影響を受けることを怖がって閉ざし過ぎていたなと感じて。『Force』で自分の内面を掘り下げることができたし、自分と向き合う作業だけで作品を生み出していくことに限界がある。簡単に言うと、自分のなかのものを出し切って空っぽになっちゃったから(笑)、いろいろな人からの刺激を受けて、新しい化学反応を起こした自分を見つけていきたいっていう気持ちになったってことですね」

―タイトルがそのままコンセプトになってる?

「そうですね。とにかくいろんな人に影響されて作っていきたいなって思ってたので、<真っ白でいたい>っていうのがコンセプトになってて。どんな色にも染まれる白というのは、私のなかでは、受け入れる強さがある色だなって思ってて。自分は真っ白なキャンバスのようになって、いろんな色、いろんな感性、いろんな可能性を1回、全部、受け入れますっていうイメージですね」

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―これまでは元メンバーで、デビュー後にソングライターに転身した多保孝一さんの楽曲を歌ってきましたが、様々なクリエイターの楽曲を歌うことで何か違いは感じました?

「多保くんや私、プロデューサーの蔦谷さん以外の方の曲を歌うのは、HeavenstampのTomoya.Sさんが書いてくれたシングル“愛をからだに吹き込んで”が初めてだったんですけど、人が違うとこうもメロディが違うのかっていうことを目の当たりにして。聴いた瞬間に、いい意味で曖昧で中間色のグレーが浮かんだんですね。多保くんの曲はパキっとした色のイメージがあって、中間色を感じたことがなかったので、すごく新鮮でびっくりしましたし、ほかの曲でもいろんな色を感じることができて」

―それぞれのテーマカラーを聞いてもいいですか? 例えば、元JETのクリス・セスターは2曲を提供しています。

「クリスの“A・HA・HA”がギラギラしたクレイジーサウンドだからシルバーで、10代の子のもやもやした気持ちを歌った“脱獄の季節”はショッキングピンクですね。中田裕二さんの“リビドーに告ぐ”は色っぽくてきつい香りのする赤紫の花で、明日は絶対にくるって言い切れる強さをもった“いつか私は歌をうたう”はゴールド。あと、今回は女性らしさも意識してて。ボニー・ピンクさんが書いてくれた、ギターもコーラスもホーンも全部、女子だけで演奏したファンキーなロック“Woman”は真っ赤で、ボニー・マッキーの“On Your Side”は肌色。これまではストイックでマッチョになりがちで(笑)、あまり女性らしさを強調したくないなって思ってたんです。でも、今回はいままでストッパーをかけていたものを全部取り払いたいと思って。この2曲は特に、女性らしい可愛らしさや念、ありのままの素肌感を感じてもらえるんじゃないかなって思います」

―ストッパーを取り払いたいと思ったのはどうしてですか?

「ロスでのレコーディングが大きかったかな。いろんなことに挑戦したり。好きなことをやってるのがSuperflyだったのに、いつの間にか自分たちが型にはめて、苦しめてるなとも感じて。LAのレコーディングで自分が狭い世界にいたなって思い知らされて。もっと自分自身である個を追求していいし、もっと自由であっていいんだなって思って。日本に帰ってきたときに、すごく清々しい気分になったんですよね。その瞬間にできたのが、“Beautiful”だったんです」

―ちなみにこの曲のテーマカラーは?

「黒です。アルバムの中で、1曲だけは何にも染まっていない、自分を描く曲を作ろうと思ってたんですね。これまでは遥か遠くにいる理想像をずっと追いかけ続けてきて。理想の自分になるために足りない条件がコンプレックスになっていたんですね。常にそこと戦ってる自分がいたんだけど、急に自分を受け入れていきたいなっていう気持ちが芽生えて。コンプレックスや理想とはかけ離れた自分すらも愛してやりたい、すごく自分を大切にしたいっていう意識になった。弱くて臆病な自分のことを笑い飛ばしもできるし、いろんなことが愛おしくなったの。急に自分のことが好きになれたんです」

―まっさらな白から始まって、いろんな色に染まってみた結果、アルバム完成後は何色になりました?

「最終的には真っ黒でした(笑)。“Beautiful”も、いろんな人の刺激を受けた上で、そのままの自分を受け入れられたことでかけた曲になってて。アルバムの制作中は、<最後は虹色になりました!>って言うのかなって思ってたけど、結局はいろんな色を混ぜた艶やかな黒だなって思いましたね。すごく意外だったけれども、今の私、最高じゃない? って思うんですよ。人生の中で自分のことを最高だなんて思ったことは一度もなかったけど、いまは別になんにもなくても<最高!>ってさらっと言えるし、私に関わってくれる人たちはもちろん、全てのことが愛おしくて仕方なくなってますね」

■album……『WHITE』5/27 on sale!!

■songlist

01. White Light

02. Beautiful

03. 色を剥がして 

04. On Your Side

05. A・HA・HA

06. Woman

07. 脱獄の季節

08. リビドーに告ぐ

09. 愛をからだに吹き込んで

10. Live

11. Space

12. 極彩色ハートビート

13. You You

14. いつか私は歌をうたう

【初回生産限定盤カバーミニアルバム収録内容】

01. Blue ~こんな夜には踊れない

02. Sweetest Music 

03. 帰れない二人

04. スローバラード(Live)

05. 楽しい時-Fun Time

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記事内容:TOWER+ 2015/5/10号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2015年05月10日 00:00

ソース: 2015/5/10

TEXT:永堀アツオ