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インタビュー

Fabio Galliani(G.O.B)



GOB_A



「ユネスコの文化遺産も狙ってます!」

オカリナは「癒しの楽器」という先入観を見事に覆すアルバム『ベッロ!オカリナ』。オカリナ七重奏団グルッポ・オカリニスティコ・ブードリエーゼ、略してゴブ(G.O.B.)によるナポリ民謡やカンツォーネ集だ。どの曲もオカリナ七重奏に鮮やかに編曲され、女性ヴォーカルやマンドリン、パーカッション等との共演もあり、アルバムを締めくくるのはクラブミュージックにアレンジされたナポリ民謡。クールだ。卓越した演奏技術に裏打ちされているからこその充実ぶりである。

「日本発売のための選曲ですが、アレンジに成功しましたね。日本とイタリアでは音楽の好みに違いがあると思う。日本では優しい音楽が好まれるようですが、イタリアにはヒーリング音楽というジャンルはあまりなく、テンポが早く血が騒ぐ、エネルギッシュな音楽が好まれる。そのせいか日本のオカリナの音はまろやかな傾向に思えますが、僕たちの使うオカリナはイタリアで作られ、音色は力強い。そういった違いも選曲や編曲、そして演奏に反映されていると思いますね」

だからこそ、このCDはオカリナ・ファンだけでなく、クラシックなどの多くの音楽ファンにも聴いてもらいたいと言う。こう話しながらもオカリナを次々と並べ、楽器の説明をしてくれたのはゴブのメンバーでオカリナ博物館学芸員でもあるファビオ・ガッリアーニだ。オカリナはボローニャのブードリオという町の焼きもの窯の管理者ドナーティによって作られたそう。

「1853年のことです。その原型になったのが、ほとんどホイッスルに近い、ガチョウを象ったような笛。それをドナーティが試行錯誤の末に細長い形にし、穴を10個開けた。そのおかけで演奏しやすくなり、音楽性の高い演奏ができるオカリナが生まれたのです。オカリナとは小さなガチョウという意味です」

ゴブはドナーティ七重奏団の流れを汲み、レパートリーは古典からオペラのアリア、そして現代音楽と幅広い。リゲティのヴァイオリン協奏曲などのオカリナパートも演奏する。ゴブのCDを聴いたリゲティから、「オカリナがもっと好きになった」という自筆手紙が届いたという。その手紙は博物館に展示してある。もちろんジャズやポップスもこなす。そんなゴブの活動に対して、イタリア文化省は文化遺産に認定した。

「オカリナ自体も文化遺産に認定してもらおうと運動中です。ユネスコの文化遺産も狙っています!」

オカリナ専門学校で学んだガッリアーニはオカリナの聖地ブードリオで催されるフェスティバルの音楽監督もこなし、オカリナ普及に腐心する毎日。世界制覇を願い、『ベッロ!オカリナ』も英語版ライナーノーツをつけた。素朴で深いオカリナに新しい音楽を感じる。



LIVE INFORMATION


『G.O.B.来日コンサート』
○2014/1/31(金)兵庫県立芸術文化センター 小ホール
○2/1(土)滋賀県栗東芸術文化会館さきら 中ホール
○2/2(日)浜松市楽器博物館 音楽工房ホール
○2/4(火)横浜市鶴見区民文化センタ サルビアホール
http://www.respect-record.co.jp



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年12月13日 10:00

ソース: intoxicate vol.107(2013年12月10日発行号)

interview&text:山口眞子