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インタビュー

a flood of circle “Dancing Zombiez”

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佐々木亮介(Vo.&Gt.)は、やっとロックンロールと等身大で向き合えているのかもしれない。a flood of circleのニューシングル“Dancing Zombiez”に収録された4曲は、そんな今のバンドの空気が現われたものだ。やらずにいられないものをやるしかない。今の彼らが他のどのロックバンドより魅力的なのは、その事実に腹を括り、それしか見ていないからだろう。



やりたいって憧れてることをやるんじゃなくて、自分がこれをやらずにいられないってことをやるしかないんですよ。

 ―この“Dancing Zombiez”が生まれたきっかけは?

「まず去年の1月に、ミニアルバムのタイトルにもなった“FUCK FOREVER”という曲を作り始めて気づいたんですけど、その前のアルバム『LOVE IS LIKE A ROCK 'N' ROLL』から、今の世の中に対する自分の気持ちを言葉にするなら“怒り”だったんですよね」

―なるほどね。

「だから“FUCK FOREVER”や“理由なき反抗”のような曲は、反射神経で思ったことをスパっと書いたんですけど、だんだんそういう“怒り”じゃないところで曲を作りたくなってきてたんです。そして、今の自分に嘘をつかずに向かい合って、俺は次に何を言うべきなのかなって考えたら“ゾンビ”って言葉が出てきて(笑)。メンバーがいなくなったり、なかなか認められなかったり、ここまでのバンド人生、負け犬だなって思わされる経験を何回も積み重ねてきたのに、それでもまだロックバンドを続けちゃうのは、もう理屈じゃないんだよなって思ったんですよ。だから<蘇れ蘇れ>って歌詞が出てきたんですけど(笑)」

―ゾンビのように何度でも蘇る、と。

「そう(笑)。何度も死んでるんだから、怒ったりむかついてるだけじゃなく、ここから生き返ろうよ、って。それくらい次のモードに入ってたんですよね。だから“Dancing Zombiez”が出来た時、すげぇバカみたいな曲が出来て嬉しかったのと同時に、もう1回ここから騒がないといけないんじゃないかなって思ったんです。アクションしようと思っているなら、誰かに託すんじゃなくて、ダイレクトに行動しないと届かないから。怒ってるだけじゃなくて、デカい声出して弾けて踊らないとな、って」

―それは自分への自信がさせたものだよね。

「うん。今、メンバーが変わらない状態で、もう1枚アルバムを作れてるから。それも自信に繋がってますね」

―ああ、今まで1枚作ってはメンバーが抜けて、バンドの一体感を求めることがまったく出来なかったからね。



 

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「姐さん(HISAYO/Ba.)が入って、バンドが固まった今だからこそ、こういう曲が出来ている気がします」

―だから“月面のプール”のような、弾き語りに近いすごく個人的な曲も、バンドで鳴らせているし。

「あの曲は、過去のどこにも入っちゃいけない曲だったんですよね。それが今やっと出来るようになった気がして。きっともう、俺自身を隠せなくなっているんでしょうね。だけど、この曲は歌もので、泣きメロで、ロックンロールっぽくないからやめようとか、まったく思わないから」

―カップリングの“アイ・ラヴ・ロックンロール”も、洋楽に日本語詞をつけるって発想だけど、バンドへの圧倒的な信頼と安心があるから出来てるんだろうね。

「そうですね。この発想は“I LOVE YOU”のツアーで、レッド・ツエッペリンの“胸いっぱいの愛を”を、ラブ繋がりでやった時から始めたんですよ。俺自身には大したものなんてまったくなくて、からっぽだと思うけど、でもこのからっぽの中に、好きなものをギュウギュウに詰めて、そこから出てくるものを俺だって呼んでいるんだな、って思えたから」

―でもそこで、すべてをかなぐり捨ててやりきれるかどうか、が大事なんだよね。

「そう。ロックンロールに限ったことじゃなくて、仕事でも恋愛でも何でもいいんだけど、自分が本当にやるべきことだとわかっているなら、すべてを捨ててもやっちゃえるかどうかが大事だから。やりたいって憧れていることをやるんじゃなくて、自分がやるしかない、これをやらずにいられないってことをやるしかない。そのやらずにいられない、が一番エネルギーになると思って」

―そういう気持ちが“アイ・ラヴ・ロックンロール”の歌詞になった、と。

「うん。やりたいことを探している時間があったら、やるしかないことをやっていたほうがいいって、今強く思っているので。それが出た感じですね」

―では最後に、バンド史上最大のキャパとなる、東京Zepp DiverCityでのライブを前にした気持ちを教えて下さい。

「俺、学生の時にライブの警備のバイトしていたんですけど、よくZepp Tokyoのライブで、警備なのに前を見ていてよく怒られてましたね(笑)。ま、いつも通りやるだけなんですけど、今、俺たちはロックンロールバンドとしての勝負が出来ているんで。その意味を確かめに来てほしいですね」


■Single……“Dancing Zombiez” 4/24on sale!

SONG LIST

01.Dancing Zombiez
02.アイ・ラヴ・ロックンロール
03.俺はお前の噛ませ犬じゃない
04.月面のプール

■PROFILE…a flood of circle (ア・フラッド・オブ・サークル)

2006年結成。ブルース、ロックンロールをベースにしたサウンド、そしてボーカル佐々木の強烈な歌声を武器に東京ライブハウスシーンを席巻。2012年、インペリアルレコードに移籍し、ミニアルバム『FUCK FOREVER』をリリース。



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記事内容:TOWER+ 2013/4/10号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2013年04月10日 00:00

ソース: 2013/4/10

TEXT:金光裕史(音楽と人)