プラスティックな音世界から広がるピープル・トゥリー
THE CURE 『Disintegration』 Fiction(1989)
〈暗いニューウェイヴ〉〈禍々しくもどこか甘い感じ〉を想定したという“くちづけ”の取材時、その好例として挙がったのはキュアーの“Lullaby”。サウンド/ヴィジュアルの両面においてゴスなロマンティシズムを体現する彼らは、プラのバックボーンとして外すことのできない存在だ。
THE STONE ROSES 『The Stone Roses』 Silvertone(1989)
有村はbounceのウェブ連載で〈目映さ、危うさ、酩酊感、透明感が混沌としている〉と本作を紹介したが、それはプラにも通底。マッドチェスター風の曲は意外と珍しいものの、今回〈Rebuild〉された“エーテルノート”はその稀少例の一つ。
4-D mode1 『In -胤-』 4-D(2012)
日本のニューウェイヴ界のレジェンド、4-D Mode1の成田忍はプラの3作目『Parade』前後の作品にアレンジ/プロデュースで関与。超ポップ化で話題となったBorisの最新作でも一役買っていたその手腕は、上述の『Parade』でも確認できる。
THEピーズ 『GREATEST HITS VOL.1』 ビクター(1989)
2003年のシングルで、バンド・ブーム期より脱力ロックンロールを鳴らし続ける千葉の先輩バンドをカヴァーしたプラ(西田敏行“もしもピアノが弾けたなら”も収録)。ポップでパンキッシュなアレンジながら、有村の声が本家にはないナイーヴさを醸し出している。
COALTAR OF THE DEEPERS 『YUKARI TELEPATH』 ミュージックマイン(2007)
ナカヤマは、アニソンやアイドル仕事もこなすNARASAKI率いるオルタナ・バンドにもサポートで参加。また、NARASAKIはプラの『トロイメライ』『シロクロニクル』でギターのサウンド・プロデュースを担当、有村は→の“EVIL LINE”で詞を共作している。
THE SMITHS 『The Smiths』 Rough Trade(1984)
2010年のシングル“ムーンライト────。”初出のアップリフティングなポップ・ナンバー“バンビ”では、スミス“This Charming Man”を引用。そう言えば、ジョニー・マーのニュアンスに富んだギター・サウンドは、他のプラの楽曲でも見え隠れ?
MY BLOODY VALENTINE 『Loveless』 Creation(1991)
ライヴのSEに長年マイブラの“Only Shallow”を起用、そして前作では『Loveless』直系の“Thirteenth Friday”を披露。また『Loveless』と同じくプラ流のシューゲイザーにも暗黒ドリーム・ポップといった趣が。「ぽわーんとしたメロディーとコード進行は、影響を受けてる部分も大きい」とは長谷川の弁。
NIRVANA 『Nevermind』 DGC/Geffen(1991)
プラの音楽にある毒気のある色香には80sのUKニューウェイヴが、陰の攻撃性には90sのUSグランジ~オルタナが色濃く溶け込んでいる。後者なら、“不純物”には“Smells Like Teen Spirit”を想起させる部分も。
THE NOVEMBERS 『GIFT』 DAIZAWA(2012)
コラボ主体のフェス〈JAPAN JAM 2012〉で有村とdipのヤマジカズヒデを招聘し、轟音セッションを繰り広げた4人組。ソングライターの小林祐介が公言しているルーツはプラの面々とかなり重複しており、内省的/背徳的なイメージのギター・サウンドも通じる。有村とは耽美派の漫画家・楠本まきのファンという共通項もある模様。
PLASTICZOOMS 『STARBOW』 felicity(2012)
楠本まき「Kiss××××」から自主企画名〈Die Kusse〉を名付けた彼らにもプラと共通の美意識が。上述のTHE NOVEMBERSと共に、ダークウェイヴ経由で漆黒のメランコリアを表現する新世代の筆頭株だろう。
VARIOUS ARTISTS 『I ❤ Visualizm feat. 初音ミク produced by マチゲリータ』 ビクター(2012)
ダークでゴシックな世界観が特徴のボカロP・マチゲリータによる、自身のルーツに則したV系カヴァー集。プラの“真っ赤な糸”には鏡音レンを迎え、少年性とノスタルジーな空気感を注入している。
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