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インタビュー

雅-MIYAVI- 『SAMURAI SESSIONS vol.1』



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[ interview ]

三味線とスラップ・ベースを組み合わせたような独自のアコギ演奏で、世界から〈サムライ・ギタリスト〉として大きな注目を集めている雅-MIYAVI-。今回は、昨年から続く〈対戦型コラボレーション〉を総括するアルバム『SAMURAI SESSIONS vol.1』に収録された“HA NA BI”で共演している、三味線奏者の上妻宏光とフラメンコ・ギタリストの沖仁を招き、特別対談を行った。

津軽三味線を手に、伝統を重んじながらもそれを更新していく上妻と、フラメンコ・ギターを手に、日本人として初めてスペインのフラメンコ・ギター・コンクールで優勝した沖。一見バラバラな組み合わせだが、世界を舞台に活躍する弦楽器奏者の3人はまさに〈刀を持ったサムライ〉であり、とにかく相性抜群である。そんな面々だからこその、非常に中身の濃い話が聞けた。



同じマインドを持って戦っている日本人アーティストとやりたかった



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(左から)沖仁、雅-MIYAVI-、上妻宏光



――まず雅-MIYAVI-さんにお訊きしたいのですが、昨年からスタートした〈SAMURAI SESSION〉というシリーズには、そもそもどういった狙いがあるのでしょうか?

雅-MIYAVI-「『WHAT’S MY NAME』っていうアルバムを2年前に出したんですが、それはギターとドラムだけでやってて、いまもそのスタイルで世界を回ってるんですね。その次のタームとして、今度はいろんな人と真剣にぶつかって生まれる音楽を作りたいと思ったんです。自分はたまたま海外で〈サムライ・ギタリスト〉って呼ばれるようになったけど、同じようなマインドを持って戦い続けてる日本人は他にもたくさんいるし、そういう日本のサムライ・アーティストたちといっしょに何かをやりたいなって」

――その最初の集大成である『SAMURAI SESSIONS vol.1』のなかでも、“HA NA BI”がいちばんサムライらしさを感じました。

「上妻さんは次期人間国宝ですからね(笑)。沖さんもフラメンコっていうジャンルでNo.1になって、ホントに2人共日本を代表して世界と戦ってる。それに、形は違えど同じ弦楽器奏者としてのプライドを持ってるので」

――上妻さんは、雅-MIYAVI-さんとはいつ出会われたんですか?

上妻宏光「自分のコンサートに雅-MIYAVI-くんが足を運んでくれて、楽屋でご挨拶したのが初めてなので、2年前ですかね」

「ギターっていう西洋の楽器を使ってるけど、海外へ行くと特に日本人としてのアイデンティティーの必要性を感じる。その意味で三味線は理想の音なんですよね」

――いまの奏法も三味線から影響を受けてるんですよね?

「めちゃめちゃ受けてます。強く弾いたら歪むし、優しく弾いたらクリーン、なんだけどサスティンがあるっていうか、ホントに理想で。もちろん上妻さんの名前はずっと知ってたので、機会があって挨拶させてもらったんですけど」

上妻「海外で活躍してるアーティストがわざわざ来てくれるっていうのがすごく嬉しかったし、野武士じゃないですけど、野生みたいなものをすごく感じて。いつかいっしょに何かやりたいと思っていたので、それがようやく現実になりました」

――雅-MIYAVI-さんとは、上妻さんのアルバム『楔-KUSABI-』に収録されている“月影”で共演されてますよね。

上妻「10月にやった、僕が主催する〈日本流伝心祭 クサビ-楔-〉っていう公演にも雅-MIYAVI-くんに出てもらったんですけど、彼からすればちょっとアウェイ感があるような、そのギャップが僕としてはすごく楽しくて。あえて、太鼓奏者と僕と3人でやったんですけど、尋常ではない盛り上がり方で、刺激的なセッションになりました」

「もうイヴェント自体、最高でしたね。ホントに、感無量でした。だって、上妻宏光と林英哲(太鼓奏者)、まさに歴史を継承して革新しようとしてる人のなかに自分が入るなんて、〈俺でいいの?〉って思いましたし。実際に演奏してるときもね、目をつぶると歴史を感じるというか、先人たちの思いみたいなものが一音一音から感じられて。しかも、そのなかで自分も日本人として音を出してるという喜びたるやもう、言葉にできないほどでした」


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掲載: 2012年11月14日 16:30

更新: 2012年11月14日 16:30

インタヴュー・文/金子厚武