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インタビュー

Ryoma Takemasa 『Catalyst』



セオ・パリッシュのお墨付きを獲得した逸材が登場。ヒップホップを起点にスウィングする、ファンキーで濃密なグルーヴを体感せよ!



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〈世界のクラブ・シーンが注目!〉といきなり言われても、日本ではなかなか実感できる機会が少ないかもしれないが、そこに続く言葉が〈ポール・マックのレーベルから作品をリリースしていた〉だとしたら、〈セオ・パリッシュが自身の楽曲のサンプリングを認めた〉だとしたら、〈ローラン・ガルニエやジェイムズ・ホールデンがプレイしていた〉だとしたらどうだろうか。こんな誰もが羨むようなエピソードを持つニューカマーが、日本の豊かな才能を世界に向けて次々と発信しているUNKNOWN seasonからファースト・アルバムを発表するRyoma Takemasaだ。小学3年から高校3年までの多感な時期をUSで過ごした彼は、メタルやパンク、さらにはスケートボードを通じてストリート・カルチャーに刺激を受けつつ、のちに彼の重要なバックグラウンドとなるヒップホップへと傾倒していく。しかし、2004年に一時渡米した際に体験したパーティーを機に、テクノやハウスへと興味が移ることに。

「誰も住んでいない家に簡単な作りのバーやスピーカーを持ち込んでパーティーをやっていて、本当に自由な感じで。そこで流れていた音楽がテクノとハウスでした。当時ヒップホップDJだった僕は、そのセオリーのないスタイルに衝撃を受けました」。

そうした転機から4年後、UKテクノ界の重鎮ポール・マックから声がかかり、彼のレーベルからファーストEP“Koroon”をリリースしているから驚きである。その後、デジタルを中心に作品を重ねてきたTakemasaが、満を持して世に放つのが今作『Catalyst』だ。「トラックを作る時に意識する部分はやはりグルーヴ感」と当人が語るように、本作から放たれるファンキーなフィーリングや音がスウィングする様は、デトロイト産のトラックに匹敵する、しなやかで濃密なグルーヴを有している。その証拠にセオ・パリッシュ“You Forgot”をサンプリングした表題曲は、セオからお墨付きをもらったほど。また随所で使われているサンプリング選びやスキットで入るビートも素晴らしく、ヒップホップ・リスナーも聴き応えを感じるだろう。

「僕の音楽の傾向はやはりルーツであるヒップホップからの影響がかなり強いです。特にプロダクション面においては、機材はもちろん、音の配置とかグルーヴ感にも無意識に影響が出ているのではないのでしょうか」。

ベタな言い方をすれば、日本人離れしたサウンド。しかし本作を聴けば、想像以上の音を体感できるはずである。



▼Ryoma Takemasaの楽曲を収めたレーベル・コンピ『A Day Of Rain -UNKNOWN perspective-』(UNKNOWN season)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年11月22日 19:15

更新: 2012年11月22日 19:15

ソース: bounce 349号(2012年10月25日発行)

インタヴュー・文/青木正之