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インタビュー

フラワーカンパニーズ 『ハッピーエンド』

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結成から23年。メジャーからドロップアウトしようが事務所がなくなろうが動員が地に落ちようが、まさにゴキブリのようにしぶとく活動を続けた結果、2012年の現在、人気の面でも評価の面でもバンド内の音楽的充実度の面でも、バンド史上最もよい状態を迎えているフラワーカンパニーズ。通算14枚目のニューアルバム『ハッピーエンド』で聴くことができる、その充実度についてきいた。

ライヴで映えそうな曲よりも、もっとこう、ぐっとくる、言葉で伝わる曲を書こうと。



──『ハッピーエンド』は、歌もの主体というか、テンションや勢いよりも、作り手が伝えたいことをじっくりと聴かせるような曲が並んでいると思ったんですが。 

鈴木圭介(Vo.):うん。前の『チェスト! チェスト! チェスト!』は、ライヴで映えしそうな曲を作ったの、フェスとかで盛り上がりそうな。でも今回は、それよりももっとこう、ぐっとくる、言葉で伝わる曲を書こうと。“深夜高速”を超えるような曲を書きたい、っていうのもあったし。で、それを書こうとしてたら、歌ものの曲ばっかりになったっていう。

──全13曲というボリュームで、1曲1曲の歌詞がとても長いアルバムでもありますが。

グレートマエカワ(Ba.):確かにこのアルバム、歌詞は長いね。まあ、それ、今に始まったことじゃないけど。曲も長いのが多いしね、今回。

鈴木:前に取材の時に言われたことがあるんだけどさ、俺、すごくよくしゃべるんだけど、なかなか核心が出てこないっていう(笑)。だから、言葉数がすごく多いのね。歌詞は、大量に書く方がラクなんですよ。短くまとめるのが苦手な人なんだね、たぶん。

グレート:それは、俺らが今でも、必ず2年に1枚はアルバムを作るっていうのにも通じることかもしれん。昔はみんなあたりまえにそうやって作っとったけど、今、キャリア長いバンドとかは、そうでもないじゃん。

鈴木:そうだね。配信とかもあるし、世の中的に、CDってものの持つ意味合いが、前とは変わってるし。定期的にCDでアルバムを出すのが常識で、みんなそれを疑ってない、っていうんじゃないもんね、今。俺らは疑ってないけど。

グレート:だから俺らはさ、3、4曲とかじゃなくて、<たくさん作るから、ここから好きな曲を選んでくれ>っていう。



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鈴木:そう、数が多い方がラクなんだよ、たぶん。曲は全然できるし、歌いたいことはいくらでもあるし、曲ができなくなることもないし……あ、今回はあったか。震災後は、やっぱり書けなくなったけど。<何を書けばいいのか>とか、<そもそも音楽やってていいのか>とか、<音楽って意味あるのか?>とか、やっぱり考えるじゃん。でも、震災のこととか原発のことについて書いた曲が1曲も入ってない、っていうふうにはしたくなくて、それで“エンドロール”って曲を作ろうとしたんだけど、もう、全然できなくて。今までで一番、歌詞を書き直した曲で、もう30回ぐらい書き直しながら、<最終的にこれ、形にならないかもしれないなあ>って言ってて。それで、誰かに手伝ってもらいたいと思った時に、前から知り合いで、<いつか一緒にやりましょう>って言ってくれてた常田くん(常田真太郎/スキマスイッチ)がいたのを思い出して。それで一緒にやってもらったら、ちょっともう、衝撃を受けるぐらいよくてさ(※注:どう<衝撃を受けるぐらいよかった>のかについては、フラワーカンパニーズオフィシャルサイト内の『ハッピーエンド』特設ページで語られているので、そちらをご参照ください)

──その、曲数も言葉数も多いっていうのと、ライヴの本数が多いというのは、どこかでつながっていたりします?

グレート:いや、ライヴの本数が多いのは、また違う理由だと思うんだけどね。

鈴木:ライヴはやってないとダメだからね。

グレート:2002年くらいに、レコード会社の契約が切れて、事務所もなくなって、自分たちで全部やり始めたじゃん。で、地方にライヴ行っても、動員、最低の時で……熊本とかさ、よく覚えとるけど、13人とかさ。でもお客さん、すごい喜んでくれて、<来てくれてほんとありがとう! こんなに人が少ないのに>とか、そういうのに触れるとさ、やっぱり<ああ、来てよかったな>って思うじゃん。クサいかもしれんけど、そういうことが多かったわけよ、2002年とか2003年の頃って。そっから始まって、今、せっかくここまで広げたし……まあ、死ぬまでこうやってやり続けようと思っとるわけだ、ほんとに。そうした時に、東京・大阪・名古屋だけでやっとっても、なんにも始まらんなっていうかさ。お金がほしいだけだったら、もっとラクで効率いいやり方あると思うけど、今みたいに日本全国を回ろうと思ったら、自分がお客さんなら、1年に1回は観たいよな……とかさ、考えると、どうしても今みたいな本数になっちゃうんだよ。だから、このアルバムを持ってまた日本中回るのを、楽しみにしとるんだけど。



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■ALBUM……『ハッピーエンド』 now on sale!


SONG LIST
1.また明日 ※NTV系全国ネット「誰だって波瀾爆笑」エンディングテーマ曲
02.ロックンロール
03.エンドロール ※常田真太郎(スキマスイッチ)プロデュース曲
04.旅待ち
05.人生GOES ON
06.SO LIFE
07.夏のにおい
08.なれのはて
09.246
10.ひとつだけ
11.煮込んでロック
12.宛てのない歌
13.天使

■LIVE……フラワーカンパニーズ ワンマンツアー 「ハッピーエンド 2012‐2013」

10/21(日)渋谷公会堂 -真秋の大爆発2012-
10/27(土)和歌山CLUB GATE 
10/28(日)徳島CLUB GRINDHOUSE
11/3(土・祝)青森QUARTER 
11/4(日)盛岡Club Change WAVE 
11/10(土)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE 
11/11(日)富山SOUL POWER 
11/17(土)宮崎SR BOX 
11/18(日)大分T.O.P.S Bitts Hall
12/8(土)、9(日)京都 磔磔  
12/15(土)札幌PENNY LANE24
※2013年 1月以降のスケジュールはオフィシャルサイトをご確認ください。

■PROFILE…フラワーカンパニーズ

名古屋が生んだ<日本一のライヴバンド>。1989年、地元の同級生にて結成。1995年メジャーデビュー。結成以来、メンバーチェンジ一切無し!止まることなく年間100本を超えるライヴを全国各地で展開中



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記事内容:TOWER+ 2012/10/10号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2012年10月10日 12:00

ソース: 2012/10/10

TEXT:兵庫慎司(ロッキング・オン/RO69)