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インタビュー

バイザラウンド 『ハローイエロー』



ステージで叩き上げられた熱いスピリットを元に、気迫と音圧勝負の生々しいロックンロールを炸裂させるニューカマー!



バイザラウンド_A



いまどき珍しく、〈体育会系ノリ〉を自認するアドレナリン過多のロック・バンド、バイザラウンド。結成当初はメンバー4人のうち3人がバンド未経験者だったという彼らだが、「最初のライヴでメジャーが決まって、1枚CDを出せばオリコン1位になると本気で思って」(松山晃太、ヴォーカル/ギター)いて、現実を知ったあとは「リハが終わってはケンカ、ライヴが終わってはケンカ」「まず対バンをぶっ殺すのが基本」(SO、ドラムス)などなど、ネタとしか思えないエピソードがいちいちおもしろい。そして熱い。

「メジャー・デビューはいいタイミングだと思ってます。いままでやってきたことを踏まえて、ロック・バンドとしてでっかいシェアのリスナーを取りにいく覚悟はしてきたつもりなので」(松山)。

メイン・コンポーザーの松山のルーツはビートルズだが、他の3人が反応してくれないため、彼は一計を案じた。Hi-STANDARD好きのSO、ジミ・ヘンドリックスとX JAPAN好きの高橋“Satoshiante”(ギター)、ミッシェル・ガン・エレファント好きのオオイユウスケ(ベース)の趣味を重ね合わせた曲作りを心掛けることで、それぞれの嗜好を消化した独自のサウンドを作り上げていったのだ。

「どういうバンドになろうと思って組んだわけじゃないので、みんながテンション上がる曲をとりあえず書きたいわけですよ。得意なものをうまく取ってくることで、一人一人の個性が必ず音に反映されるし、じゃないとバンドでやる意味がないから」(松山)。

メジャー進出作は、ミニ・アルバム『ハローイエロー』。のっけから筋肉質のリズム隊とたっぷり歪ませたギターが作る、気迫と音圧勝負の生々しいロックンロールが炸裂する。男臭いヴォーカルも真っ向勝負だ。

「オレは〈このドラム、カッコいいだろ?〉っていう性格じゃないので、歌が良くないと意味がないんですよ。今回はそこを引き立てられてるから、相当満足してます」(SO)。

「ベースを1曲ごとに替えて、ここはこの音でいいのか、このフレーズでいいのか、すごく緻密に考えました。楽器隊3人は同じ気持ちだと思うんですけど、歌メロに対してすごく意識した作品なんですよ」(オオイ)。

「オレは古臭いギターを弾いちゃう人間なので、みんなからアイデアをもらって、2012年型の音にすることを意識しましたね。歌とケンカするギリギリのところで、いかにオレらっぽくするか。それのみです」(高橋)。

歌詞については、解説するよりも聴いて感じてもらったほうがいい。ただひとつ、〈バンド未経験者だった組〉の3人が青森出身のこのバンドにとって、昨年の東日本大震災はまさに身内の出来事で、かつてない衝撃を受けたという松山が並みならぬ決意を持って今回のメジャー・デビューに、そしてこの作品に挑んだことだけは書いておきたい。

「希望というとちょっと恥ずかしいけど、でも希望ですよね。僕らみたいに地べたを這いずり回って活動してきたバンドが、〈メインストリームに立つんだ!〉って意地を張ってる姿を音に落とし込みたいし、そういう歌詞を書きたかった。ロックなんてただのエンターテイメントだからそこまでやる必要はないけど、人間的な部分で気合いを入れたかったんですよ。〈オレも気合い入れてくから、オマエらも気合い入れていこうぜ!〉って」(松山)。

彼は、最後にポツリとこう言っていた──「がんばってる奴を見ると泣けてくるんですよね」。ロックに託した熱い生き方を見せるべく、バイザラウンドはいま、新たなスタートラインに立つ。



▼関連盤を紹介。

左から、ビートルズの65年作『Help!』(Apple/Capitol)、Hi-STANDARDの99年作『MAKING THE ROAD』(PIZZA OF DEATH)、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの67年作『Are You Experienced?』(MCA)、ミッシェル・ガン・エレファントの98年作『ギヤ・ブルーズ』(コロムビア)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年11月25日 00:30

更新: 2012年11月25日 00:30

ソース: bounce 349号(2012年10月25日発行)

インタヴュー・文/宮本英夫

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