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インタビュー

D.O.A.とは何だったのか?



ジェイ・Zが“D.O.A.(Death Of AutoTune)”を発表した2009年、〈やっぱりオートチューンを使うなんてリアルじゃないと思ってた〉〈ジェイ・Zがよくぞ言ってくれた!〉と、素直に尻馬に乗ってしまうカッコ悪いアーティストも多かったものだが、同曲を収めた『The Blueprint 3』には、カニエ・ウェストからリアーナ、ドレイク、キッド・カディ、Mrハドソンまで変声の活用で人気を博した面々も多くフィーチャーされていたわけで、本来は流行に乗ったクリエイティヴィティーの欠落を指摘したものだったはずだ(実際にジェイが狙い撃ったと思しきジム・ジョーンズの“Pop Champagne”を手掛けたロン・ブロウズは失速してしまった)。そんなわけで、変声とそこから得られる効果自体の魅力やおもしろさは変わることなく音楽シーンに顕在化している……どころか、むしろ広がっていると言えそうだ。ハウス〜エレクトロ系のサウンドがポップ界全体に広がるなかで、ダンス・トラックと親和性の高い加工ヴォイスはいよいよ一般化したし、それに呼応してヴォコーダーやトークボックスなどもさらに復権。声を加工すること自体を語るのももはやアホらしい状態になっていて、結局は本質が大事だという話になる。そう考えると、T・ペインがデビュー時から備えていた本質=ソングライターとしての魅力にフォーカスが当たるのは当然なのである。



▼関連盤を紹介。

左上から、ジェイ・Zの2009年作『The Blueprint 3』(Roc Nation/Atlantic)、ドレイクの2010年作『Thank Me Later』(Young Money/Cash Money/Universal)、キッド・カディの2009年作『Man On The Moon: The End Of Day』(G.O.O.D./Universal)、ドリームの2010年作『Love King』(Radio Killa/Def Jam)、ケシャの2010年作『Animal』(RCA)、LUVRAW & BTBの2011年作『HOTEL PACIFICA』(PAN PACIFIC PLAYA)、Perfumeの2011年作『JPN』(徳間ジャパン)、クローメオの2010年作『Business Casual』(Turbo/Vice)、DJ AKのニュー・アルバム『Gangsta Zone Party』(Gangsta Zone/Pヴァイン)

 

 

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年12月21日 17:59

更新: 2011年12月21日 17:59

ソース: bounce 339号(2011年12月25日発行号)

文/出嶌孝次