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インタビュー

パスピエ 『わたし開花したわ』

カテゴリ : インタビューファイル 

掲載: 2011年11月22日 18:00

更新: 2011年11月22日 18:00

ソース: bounce 338号(2011年11月25日発行号)

インタヴュー・文/土田真弓



ヴォーカルの大胡田なつきが描くバンドのヴィジュアル・イメージはご覧の通り。CDの帯を見れば、〈カテゴリ:21世紀流 超高性能個人電脳破壊行歌曲〉〈タグ:20代前半、音楽理論、70's〜00's、咀嚼〉といった大量の記号が躍っている。2009年にキーボードの成田ハネダを中心に結成された5人組、パスピエ。〈匿名性〉をフックにした紹介のされ方に相対性理論を想起する人は少なくないだろうが、その音楽性は、彼ら自身のルーツをストレートに反映させたものだ。

「僕、ずっとクラシック音楽をやってまして、なかでも印象派の、自然な不協和音があるところが好きなんですね。それと同時に僕は日本のニューウェイヴやテクノ・ポップも好きなので、そこをうまく融合できないかな、って。バンド名もまさに印象派の、ドビュッシーの好きな曲〈パスピエ〉からきてるんです」(成田)。

そんな彼らの初の全国流通盤『わたし開花したわ』は、表情豊かな大胡田の歌とファンタスティックな詞世界、YMOの“東風”あたりを連想させもするオリエンタルなシンセ・リフ、そしてタイトなバンド・サウンドが一体となった極彩色のテクノ・ポップ(ス)・アルバムとなっている。例えば、どこかチャクラに通じる佇まいも——と話題に出してみると、次のような答えが返ってきた。

「今回のアルバムはホントに名刺代わりっていうか、いま出せるものを全部詰め込みたいと思って作った作品で。大胡田の特徴的な声だとか、僕自身の思うシンセ・サウンドのヴィジョン——いま話に出たチャクラは僕も大胡田も共通で好きなんですけど、そのへんに近い感じの音だとか。あとエモーショナルだけど計算されてる感じをどうやって出そうか、と。そういうところで試行錯誤しました」(成田)。

「歌詞はうーん、自分の頭のなかに何人か自分がいて、そのうちの誰かに起きている事象を書いてる感じですね。例えば“うちあげ花火”にはちょっと少女っぽい自分がいたり、あと、夜の街に遊びに行っちゃう“チャイナタウン”とか“真夜中のランデブー”は、なんかキャラっぽいですよね(笑)。“電波ジャック”は特にキャラが立ってるかな」(大胡田)。

〈少女とパソコン〉をモチーフにしたジャケットの発想のもととなった“電波ジャック”の詞は、大胡田と成田が共作したもの。アルバムの仮タイトルでもあったというこの曲は、作品全体の象徴だと言ってもいいだろう。

「この曲は、僕が聴いてきた日本の70〜80年代のニューウェイヴの、ど真ん中の曲が作れたな、っていうのがあって。それこそP-MODELだったりとか、これまで話したバンドだったりの、あの独特のシンセがピコピコ鳴ってる感じを、歌詞でも直接表したいなと思って。だからこれは言いたいことがあるっていうより、僕が聴いてきた音楽自体を言葉にしてみたっていう感じですね」(成田)。

日本の70年代〜2000年代の音楽を2011年型のポップスへと変換するパスピエのサウンド。その鮮やかさは、成田が語ってくれたエピソード——ピチカート・ファイヴ“大都会交響楽”の華やかなストリングスにインスパイアされたという“真夜中のランデブー”に、彼らと同世代のリスナーはYUKIとの共通タグを見い出すらしい——にもあきらかだろう。ポップで強烈な〈記名性〉によって冒頭で触れた類いの〈匿名性〉を軽やかに翻しながら、彼らは今後どこへ向かうのか。

「曲を書いて、ライヴをやるという常があって、それを観たり聴いたりした方々がどう評価してくれるのか。バンドって、動かすというよりは動かされてるものだと思うんです。そのなかで、僕らの音楽が欲せられる場がこれからどんどん増えていってくれればいいなって思いますね」(成田)。

 

PROFILE/パスピエ


大胡田なつき(ヴォーカル)、成田ハネダ(キーボード)、三澤勝洸(ギター)、露崎義邦(ベース)、やおたくや(ドラムス)から成る5人組。成田を中心として2009年に結成され、都内を中心に積極的なライヴ活動を展開していく。2010年3月に5曲入りの自主制作盤『ブンシンノジュツ』をライヴ会場限定でリリース。その後、ドラマーの交替を経て現在の編成に。大胡田のパフォーマンスとバンドの演奏力も相まって徐々に話題を広げるなか、今年に入ってQ;indiviの新レーベル、COCONOEと第1弾アーティストとして契約を果たす。初の一般流通作品となるファースト・アルバム『わたし開花したわ』(COCONOE)をタワレコ先行でリリースしたばかり。

 

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