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インタビュー

藤本一馬

カテゴリ : インタヴュー 

掲載: 2011年07月25日 19:01

更新: 2011年07月26日 12:27

ソース: intoxicate vol.92 (2011年6月20日発行)

interview&text:大石始

静けさの中に様々な気配が潜むギター・インスト・アルバム

ナガシマトモコとのユニット、orange pekoeではナガシマの伸びかな歌声を中心にした音楽世界を展開してきたギタリスト/ソングライター、藤本一馬。彼の初ソロ作『SUN DANCE』は、透明感溢れるギター・インストゥルメンタル作品となった。

「orange pekoeのアルバムでもインストゥルメンタルの要素のある曲は入れてたんですけど、ソロ・ギタリストという意識はそれほど強くなくて。ただ、インストはやってみたいと常に思ってて、その思いが(orange pekoeの05年作)『Grace』の後に強くなってきたんですね。ギタリストとしての自我のようなものが」

本作の録音に迎えられたのが、orange pekoeの09年作『CRYSTALISMO』にも参加していた工藤精(ベース)、岡部洋一(パーカッション)という2人。

「岡部さんは本当に凄いです。普段から〈師匠〉って呼んでますから(笑)。岡部さんのサウンドというものがあって、それをそのまま僕の世界のなかで展開してほしかった。工藤くんは感覚が自由なんですよ。サウンドを膨らませる力があって、それでいて強いグルーヴ感がある。この2人にはすごく触発させられるんです」

録音はすべて一発録りで、藤本の繊細なタッチを堪能できる仕掛けだ。また、スティール・ギターとガット・ギターを使い分けながら複雑な音楽模様を描き出すそのプレイは、時にパット・メセニーを想起させる瞬間があれば、ハワイのスラックキー・ギターやアルゼンチンのフォルクローレを連想させる瞬間もある。

「orange pekoeではこんなにギターを前面に押し出したことがなかったですからね。今までは〈ギターの音量はこれぐらいでいいか〉っていうところもあったんで(笑)。今回のレコーディングではできるだけレンジの広い音にしたいと思ってました」

タイトルはネイティヴ・アメリカンの儀式から(25分20秒に渡って丁々発止の演奏を聴かせるタイトル曲は本作の聴きどころのひとつ)。その他にも《海の祈り》《山の神様》という曲もあって、ギターを通して祈りを捧げるかのようなムードが本作にはある。

「全部震災前に作ったものなんですけど、確かにそういうムードの曲が多くなった気がしますね。自然に対する想いだとか、以前から感じてたものが表現されているのかもしれない。考えてることを言葉やメッセージにできる人って凄いと思うんですけど、僕の場合、言葉や文章による詩的表現みたいなものが全然できないんです。だから、モヤッと沸いてくる感情や光景を音楽で表現したいんですよね」

一部の楽曲は、一時期住んでいた葉山で書かれたもの。音の隙間に漂う大らかなムードは、ひょっとしたら潮風吹く葉山の地が与えたものかもしれない。そうした空気感すら鮮やかに描き出す、まさに水彩画のようなギター・アルバム。それがこの『SUN DANCE』だ。

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