
ポップス、それはイマジネーション──。
少女期に「オレたちひょうきん族」のエンディング(テーマはEPO、山下達郎、ユーミンなど)を観ながらアクティヴな大人たちの世界に胸膨らませていたという土岐麻子が、80年代のシティー・ポップに見て取ったカラフルな景色とアーバンな佇まい──そんな原体験の妄想を散りばめながら作り上げてきた上質なポップスは、用途・効能まであらかじめ定められたような商業的メッセージ・ソングや送り手のパーソナリティーに寄った〈リアル至上主義〉なポップスが賑わう昨今の音楽シーンの狭間で、キラリとその存在感を光り輝かせていたと思われるわけです。そして、最新作『乱反射ガール』は、意味深なタイトルや80年代的フェミニンを纏ったジャケットのヴィジュアル・ワークからして、そんな彼女の世界観を極めたアルバムだと言えるんじゃないでしょうか。
コンパクト越しに光る真夏の紫外線のごときまぶしさを放つタイトル・ナンバーをはじめ、灼けた砂の上に寝そべるビーチ・ガールのような爽やかな色香を感じさせる“熱砂のオンナ”、当時のコスメCMを彷彿とさせるキャッチが飛び交う“薄紅のCITY”。そして〈エキゾチック・ジャパン by JR東日本〉的な80's的キャッチコピーが浮かぶ“鎌倉”、アーバン・リゾート・ライフ的なニュアンスをほんのりと漂わせた“sentimental”、80年代を象徴する名盤=マイケル・ジャクソン『Thriller』からの名曲“Human Nature”のカヴァー(with 和田唱)などなど、あの頃、カー・オーディオやウォークマンでヤング・アダルトたちが聴き勤しんでいたような、煌びやかなムードがここにはたっぷりと。
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