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インタビュー

小島麻由美

名うてのミュージシャンたちとスウィングした堂々の名盤が完成!!


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 歌謡曲、ジャズ、フレンチ・ポップ、ラテンなど、さまざまな音楽の要素を半ば無意識的に融合させた独自の音楽性で、95年のデビュー以来オリジナリティーに満ち溢れたスバラシイ作品を世に送り届けてきた小島麻由美。そんな彼女が約1年半ぶりとなるニュー・アルバム『スウィンギン・キャラバン』をリリースした。

「ジャイヴとかスウィングとか、自分の好きな音楽ってデビューした頃からあんまり変わってないんだけど、今回のアルバムではその隙間を狙ってみようかなと思って」。

 そんな意欲的な言葉が指し示すように、今作での彼女はいつもながらの〈小島マナー〉はそのままに、いままで見せることのなかった新たな一面を聴き手にさりげなく提示している。

「1曲目の“ラストショット!”とか、ホーンの入り方がおもしろくて自分のなかでもいままでにない感じの曲だと思うし。今回はたっぷり時間もあったんで、曲ごとにいろいろ試すことができました」。

 彼女が真っ先に挙げた“ラストショット!”以外にも、白昼夢にも似た穏やかなサイケデリアを感じさせる“蝶々”や、ほのかな郷愁が漂うヴォードヴィル風の曲調に乗せて甘い恋心を歌った“チョコレート”など、彼女自身も言うところの〈いままでやってそうでやってなかった感じ〉がそこかしこに散りばめられている。また今作には、塚本功やASA-CHANGといったお馴染みの面々に加えて梅津和時やDr.kyOnといった腕利きのヴェテラン・ミュージシャンも参加。ツボを心得たプレイで唯一無二の〈小島ワールド〉を絶妙に演出している。

「梅津さんは、私の伝えたいイメージを〈ああ、キャバレーっぽい感じね〉とか即座に理解してくれて、やっぱり大御所だなあと思いました。kyOnさんは去年のツアーから参加してもらってるんだけど、ピアノにアタック感があるというか、kyOnさんが入るだけで演奏に凄くライヴ感が出るんです」。

 絶大な存在感とキャリアを持ち合わせたミュージシャンたちが、一堂に乗り合わせた今回のキャラバン。そんな一筋縄ではいかない面々と共に進んできた道程を、キャラバンの主たる小島はこんなふうにしみじみと振り返る。

「それにしても、みんな濃かったですねえ。あまりに濃すぎて、ちょっと操縦が利かない感じもあって(笑)。こんな贅沢な人たちとごいっしょできて、つくづくソロ・シンガーで良かったなあと思いました」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年03月30日 00:00

更新: 2006年03月31日 10:41

ソース: 『bounce』 274号(2006/3/25)

文/望月哲