注目アイテム詳細

日本の幽霊は“貞子スタイル”が定番?いまも根強い人気を誇る「Jホラー」の歴史を振り返る

BookTopicks

今や映画ジャンルのひとつとして認知されている日本のホラー映画。「ジャパニーズホラー」や「Jホラー」と呼ばれ、今年も『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』や『近畿地方のある場所について』が公開されるなど、根強い人気を誇っている。今回は、海外でも広がりを見せるJホラーの歴史を振り返ってみよう。

●Jホラーの歴史を振り返る―『ほんとにあった怖い話』から『近畿地方のある場所について』まで

日本のホラー映画界隈で「Jホラーの父」「Jホラーの先駆者」と呼ばれているのが、映画監督・小説家の鶴田法男。プロ監督デビュー作『ほんとにあった怖い話』は、1991年に自ら企画した同名のホラーコミックを映画化したもので、後のホラー作品に大きな影響を与えた。テレビドラマとしても人気を集め、いまなお“ほん怖”の愛称で親しまれている。

Jホラーが一大ブームを迎えたのは、1990年代後半。火付け役となったのが、1998年に公開された映画『リング』だ。鈴木光司のベストセラー小説を、監督・中田秀夫と脚本・高橋洋のタッグで映画化。呪いのビデオを巡って展開する同作はシリーズ化され、ハリウッドでリメイクを果たすと人気は海外にも拡大。ロングの黒髪に白いワンピース姿の貞子というキャラクターは、日本のホラーを象徴する存在となった。

『リング』とならんで人気を集めたのが、清水崇監督の『呪怨』シリーズ。同作も巨匠サム・ライミ製作でハリウッドリメイクされた。今年の夏にはVシネマ版の『呪怨』『呪怨2』が、4K・5.1chリマスター版として初めて劇場公開されて話題に。Jホラーの原点ともいわれるビデオ発のホラーが25年の時を経て蘇った。

『リング』や『呪怨』のヒットで巻き起こったJホラーブームは、演出方法の定番化とともに沈静化した。そうしたなか、2021年に清水崇監督が選考委員長を務める「日本ホラー映画大賞」が創設。令和の新しいホラー映像作家の発掘・支援を目指した一般公募のコンペティションは日本初の取り組みだ。第2回大賞受賞作である『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』は、2025年に長編映画としてリメイクされて公開されている。

10月22日に発売された書籍「Jホラーの核心 女性、フェイク、呪いのビデオ」は、気鋭の映画研究者がJホラーの歴史と本質を新たな視点から読み解いた一冊。フェイクドキュメンタリーの先駆けといわれる『邪願霊』から『近畿地方のある場所について』に至るまで、多彩な作品を取り上げている。Jホラーを語るうえで欠かせない「ビデオ」や「家」、「フェイクドキュメンタリー」など、ジャンルごとに有名作が紹介されているので、Jホラーファンはもちろん、映画ファンもぜひ手にとってみてほしい。


towerbooks

セブン-イレブン受け取りサービス

タグ : レビュー・コラム

掲載: 2025年11月25日 10:00