アニメ映画『トリツカレ男』の原作者・いしいしんじとは?評価され続ける作品たちの魅力に迫る

11月7日に、ミュージカルアニメ映画『トリツカレ男』が公開される。原作となった小説を手がけるのは、作家・いしいしんじ。そこで今回は、いしいの来歴や彼が生み出してきたさまざまな作品の魅力を振り返ってみたい。
●“本の神様”も絶賛する注目作家
いしいのデビュー作は、1994年の「アムステルダムの犬」。作中では自称“路上似顔絵書道家”と、食事の前に必ず踊る“アホノラ犬”パトラッシュの交流を描いている。“本の神様”と呼ばれるエッセイストの井狩春男も、「心がほのかにあたたかくなってくる。思い入れたっぷりの絶対絶対絶対のオススメ本だ」と激賞するほどの作品だ。
いしいはその後2003年に、「麦ふみクーツェ」で坪田譲治文学賞を受賞。さらには2012年に「ある一日」が織田作之助賞に選ばれ、2016年には「悪声」で河合隼雄物語賞を受賞するなど、数々の作品が高く評価されてきた。
また多趣味なことでも知られているいしいは雑誌「オートスポーツ」にて、趣味のモータースポーツに注目したコラム「ピット・イン」を2017年から展開。コラム内に掲載されたイラストは、小学生の息子が担当したことでも話題になった。
なおアニメ映画化される小説「トリツカレ男」は、2006年に文庫版が刊行されている。本作の主人公は、何かに夢中になると寝ても覚めてもそればかりになる男・ジュゼッペ。ある日風船売りの無口な少女・ペチカに恋をした彼が、どうにかして彼女の心をあたためようと奮闘するピュアなストーリーが見どころだ。
小説から趣味コラムまで、幅広いジャンルの文章を手がけるいしい。彼の作品の中でも今回特に注目したいのが、2024年7月に発売された「息のかたち」だ。
本作は、ひとの“息”が見えるようになった高校生・夏実の物語を綴った青春小説。コロナ禍における学生生活や恋愛、受験などさまざまな“青春のかたち”を、いしいらしい視点で切り取っている。タイムリーでありながらも独特ないしいワールドに飛び込んで、物語の世界を堪能してみてはいかがだろうか。
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タグ : レビュー・コラム
掲載: 2025年10月28日 12:24

