今度の恐怖は「猿のおもちゃ」!?数々の作品が映像化されてきた「モダンホラーの帝王」スティーヴン・キングの魅力

「モダンホラーの帝王」と呼ばれ、今もホラー小説界のトップに君臨し続ける作家スティーヴン・キング。9月19日から公開される新作映画『THE MONKEY ザ・モンキー』は、彼の短編小説「猿とシンバル」が原作となっている。そこで今回は、これまで数々の映像化作品を世に出してきた巨匠の話題作を振り返ってみよう。
●キング自身が原作改変に激怒した問題作も
『THE MONKEY ザ・モンキー』は、死を招く猿のおもちゃがキーアイテムのホラー作品だ。猿がドラムを叩くと、必ず不可解な死が訪れる……。捨てても戻って来る不気味な猿のおもちゃがもたらす死は、まるで殺人カタログを見ているかのようにバリエーション豊か。「笑っちゃうほど人が死ぬ!」と不穏なキャッチコピーまで付けられている。
さて、キングの映像化作品で外せないものといえば、やはり『シャイニング』ではないだろうか。監督を『2001年宇宙の旅』や『時計じかけのオレンジ』などを手掛けたスタンリー・キューブリックが務めただけあって芸術性も高く、「ホラー映画の金字塔」の呼び声が高い。
雪に閉ざされたホテルで起きる惨劇を描いた本作だが、物語の構成や人物の心理描写、結末など原作と大きく異なる点が多いのもよく知られた話だろう。キングはこの原作改変に激怒し、後に自らが脚本・製作を手掛けたドラマが作られている。
そんなキングが映像化を絶賛したのが『ミスト』だ。監督はキング原作の『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』も映画化したフランク・ダラボン。ある日突然街を覆った「霧」の中から現れるモンスターへの恐怖と、極限状態の中で常軌を逸していく人間の狂気を描いた作品だ。原作にはない絶望的なラストに「鬱映画」と言われるが、キング自身は「自分が先に思いつきたかった」と改変されたラストシーンを評価している。
キング原作映画は他にも『ペット・セメタリー』や『IT』シリーズなど数多い。ホラー以外にも『スタンド・バイ・ミー』などの名作もあるが、とくに評価が高いのが『ミザリー』だ。人気作家ポールを自宅に幽閉する、病的なまでに熱狂的なファン・アニーを演じたキャシー・ベイツは、この作品で見事アカデミー賞主演女優賞に輝いた。
映画ではキャシーの怪演がアニーの異常さをストレートに伝えてくれるのに対して、原作小説ではキングの丹念な筆致によってじわじわとアニーの狂気が顔を覗かせていく。違和感を覚えながらも、気づけば抜け出すことのできない恐怖に震えてほしい。
●スティーヴン・キング著書
▶スティーヴン・キング著書一覧はこちら。
タグ : レビュー・コラム
掲載: 2025年08月14日 18:16

