元祖“イクメン”と呼ばれ……5人の子どもを育てるつるの剛士流“見守り”子育て論

俳優、歌手、タレントとマルチに活躍しながら、プライベートでは5児の父でもあるつるの剛士。かつてベスト・ファーザー賞を受賞し、“イクメン”の先駆け的な存在として注目を集めたこともある。そんな彼が経験した子育ての奮闘を垣間見られるのが、著書『「心はかけても手はかけず」つるの家伝統・見守り育児 つるのの恩返し』だ。
●つるの家流の子育ては“心配ではなく信頼”がカギ
つるの家の子育てにおける重要なモットーは、子どもへの“心配”よりも“信頼”を大切にすることだという。「将来はこんな方向に進んでほしい」などと子どもに期待をかけるのではなく、子どもたち自身がもつ成長力や自分の進む道を見つける力を信じているのだ。
もちろん、お子さんのことをついつい心配してしまう親御さんの気持ちも、とてもよくわかります。でも残念ながら、子どもは親の望む通りにはならないものです。銀行員の父を持つ僕が芸能界を目指したように、子どもには子どもの個性があります。 (※注)
実際につるの家の長男は「日本の教育が自分には合わない」という理由で、中学卒業後から海外でひとり暮らしをスタート。さらに長女と次女も、それぞれの目標のために留学生活中だ。勉強熱心な高校生の三女は文武両道の毎日を送り、小学生の次男も釣りにボウリング、BMXと幅広い趣味に没頭しているという。子どもたちが各々のやりたいことに熱中できるのは、まさにつるの流の“信頼する育児姿勢”があってこそだろう。
つるの家の子どもたちは歩んでいる人生も夢中なことも、五者五様。彼らの成長と、生きる力のたくましさに驚かされることばかりです。
子育てに正解はありません。
だから僕は子ども一人ひとりを信じて、見守ることを大切にしています。子育ては「心配より信頼」、これに尽きると思います。 (※注)
●いつでも手助けできる距離から“子どもたちだけの世界”を尊重
つるのが見守りの姿勢を貫いているのは、子どもたちの生き方についてだけではない。彼らが作り出す“きょうだい同士の関係性”に対しても、「心はかけても手はかけず」という方針を意識しているのだという。
親子間の縦の関係はもちろん大切です。加えて僕は、夫婦間の関係(「夫婦秘密結社」のような笑)と、きょうだいだけの関係といったそれぞれの横のつながりもとても重要だと感じます。我々夫婦は、子どもたちの社会を少し離れて包み込むように見守る、審査官のような存在だと思っています。 (※注)
子どもたちの世界に干渉しないよう気をつけているつるのだが、彼らが困ったときにはすぐに手助けできるような環境作りも怠らない。
僕は子どもから「パパ、あのね」と話しかけられたら、必ず耳を傾けてきました。時間がなかったら、後で必ず「さっきの続きを教えて」と聞き直す。子どもの話を否定したり、途中で口を挟むことはありません。共感して、子どもの気持ちに寄り添ってあげる。親は、子どもが本音を吐き出せる存在でいてあげるんですね。僕ら夫婦は、子どもたちの世界に干渉はしないけれど、彼らの相談やSOSはしっかり受け止める。そのための心の「窓口」を、いつでも開いています。 (※注)
●子どもの自己肯定感を高めるほめ方とは?
2022年に幼稚園教諭二種免許と保育士資格を取得し、現在は非常勤の幼稚園教諭としても働いているつるの。自身の子どもを育てながら保育の現場にも携わってきた彼曰く、“子どもの自己肯定感を高めるほめ方”があるという。
大人だってピンポイントで具体的にほめられると、「気付いてくれたんだ!」ってうれしくなりますよね。子どもも同じで「ここを見てほしい」というポイントが必ずあるはず。だから、まずは日頃からじっくり子どもの姿を見ることが必要。変化や成長に気付けるようになるためです。
何より親が真剣に自分のことを見てくれていると感じれば、それこそ自己肯定感につながっていくのではないでしょうか。 (※注)
なお子どもをほめる際、「〇〇ちゃんより上手」などのように他人と比較するのはNG。本人の努力してきた過程や得られた結果に着目し、素直にほめるようにするのが良いとつるのは語った。
今回紹介した書籍には、個性豊かな子どもたちがのびのびと暮らすつるの家ならではの子育て論がたっぷりと盛り込まれている。親世代や保育者にとってためになる内容ばかりなので、気になった人はぜひ手に取ってみてはいかがだろうか。
注)「「心はかけても手はかけず」つるの家伝統・見守り育児 つるのの恩返し」より引用
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掲載: 2025年07月25日 18:35

