夏目漱石「坊っちゃん」の原稿が発見され話題に!現代に残る文豪たちの直筆原稿の魅力

夏目漱石や芥川龍之介、太宰治……。現代も愛される文豪たちが活躍した時代には、もちろんパソコンはなく、手書きで原稿を書いていた。直筆原稿は、作品の創作過程が残された貴重な資料である。今回、新たに発見された夏目漱石の直筆原稿が公開され、大きな話題となっている。
●ついに発見された「坊っちゃん」の手書き原稿
明治時代の文豪・夏目漱石の代表作である「坊っちゃん」。同作の直筆原稿は長年所在がわからずにいたが、2025年4月に発見された。発見したのは、天理大学附属天理図書館。同図書館が2019年に古書店から購入した原稿を鑑定した結果、本物であることが判明したという。
この原稿は、2025年5月18日~6月15日に東京の天理ギャラリー、同年10月15日~11月17日に奈良県の天理参考館にて一般公開される。「漱石・子規・鷗外―文豪たちの自筆展―」と題した展覧会での展示となり、夏目だけでなく、正岡子規・森鷗外の自筆原稿も見られるとのこと。生で手書き原稿を見られるまたとない機会だ。
▶「漱石・子規・鷗外―文豪たちの自筆展―」詳細はこちら。
文豪たちの直筆原稿の中には、Web上で見られるものも多数あるので紹介したい。まずは、国立国会図書館HPの「近代日本人の肖像」というアーカイブコーナー。こちらでは、「国立国会図書館デジタルコレクション」にて公開されている様々な作家の直筆原稿を見ることができる。
例えば、芥川龍之介の代表作「河童」や、谷崎潤一郎の「二人の稚児」、ほかにも正岡子規や尾崎紅葉など、近代文学の有名な作家が名を連ねている。夏目の原稿も「夏目漱石真蹟俳稿」という手書きの俳句集が閲覧可能だ。
▶「近代日本人の肖像」詳細はこちら。
また、弘前大学附属図書館のHPでは「太宰治自筆ノート」が公開されている。こちらは太宰が学生時代に書いた、英語の授業と当時存在した「修身」という授業のノートだという。
字は乱雑で読みづらいが、注目したいのは「落書き」だらけであるところ。人物画のようなものも描かれており、意外にも絵心があったのだと驚かされる。退屈な授業ではノートに落書きをしたくなるものだが、太宰も同じように感じていたのだろうか。そう考えると急に親近感も湧いてくる。
▶弘前大学附属図書館「太宰治自筆ノート」はこちら。
直筆原稿には作家の人間味まで感じさせてくれる魅力がある。「坊っちゃん」は夏目の中学校教師時代の体験をもとに書かれたそうだ。直筆の原稿を通して、今まで知らなかった夏目の人生の一端に触れることができるかもしれない。
夏目漱石を読もう!
▶夏目漱石 取り扱い中の書籍はこちら。
タグ : レビュー・コラム
掲載: 2025年06月13日 12:36

